【視点】企業の新卒採用 学生の履修履歴で資質を見抜け (2/3ページ)

就職活動が解禁され、各企業のブースに集まる学生たち=3月
就職活動が解禁され、各企業のブースに集まる学生たち=3月【拡大】

 こうした大学環境の変化を理解する企業が注目するデータがある。学生と産業界、教育界をつなぐハブの役割を目指している大学成績センター(東京都千代田区)が作成する「履修履歴データベース」だ。活用する企業は2018年春卒業時の210社から19年春卒では340社と急増している。単なる履修履歴だけでなく、学部平均からの乖離や最高評価率、厳正評価の授業での成績など客観的・相対的事実が記載されており、応募者の置かれている環境が分かる。

 このため応募者の印象に左右されることなく判断できる。例えば「力を入れた授業は」との質問に、印象や話し方から論理的なタイプとは思えない応募者が「統計学や証券投資論などの数学的授業が得意」と答えても面接者はなかなか信じられない。しかしデータで、評価の厳しい授業で上位30%以内に入っていることが分かれば納得できる。

 真偽を確認できるエピソードがないと面接者の感覚で判断せざるを得なかったが、客観的データがあることで印象と違っても事実と確認できる。学生はエピソードを話せる学業外の活動に偏りがちだが、データを見ながら面接を続けるので「こんなことに興味を持っていたんだ」と本人も気づいていない特徴や意外な側面を指摘・確認できるようになる。

                   

 企業にとって、これまで見逃してきた資質の持ち主を発見でき、応募者の印象に左右されることなく多様なタイプの学生を採用できる。応募者も多面的に見られた実感が持てるため選考途中での辞退者が減る。結果として内定者数が増えるだけでなく、多様な人材の確保にもつながる。

続きを読む