2017年4月から訪日中国人客向けの美容サロン予約サイトを運営するオーエス(東京)には、問い合わせや予約が毎月100件ほど入る。加盟店は東京、大阪を中心に約40店舗あるが今後、名古屋と福岡のサロンにも拡大する方針だ。
オーエスの高橋由彦取締役(47)は「日本と中国が決定的に違うのは接客レベルと教育体制。訪日客向け美容サービスはまだ伸びる」と自信を示す。中国で「日式」サロンに行くよりも安くて良い技術やサービスを受けられるとの理由で、リピート客もいるという。
美容業界は個人経営や小規模サロンが多く、訪日外国人客の受け入れで一番の問題となるのは外国語に対応できるスタッフがいないなど言葉の壁。さらに、急なキャンセルによる損失リスクも課題だった。
オーエスでは中国人旅行客の予約をネットで受け付け、無料通信アプリ「微信(ウィーチャット)」を使って施術の詳細なオーダーを聞き取り、決済もネットを使って済ませることで、加盟店を拡大することができたという。
高級「日式」に商機
少子高齢化で業界の縮小が見込まれる日本に比べ、中国の美容産業は伸び盛りだ。新華社通信(電子版)は昨年10月、2020年までに美容産業の生産額が1兆元(約16兆2100億円)を突破すると報じた。中国国家発展改革委員会が制定した「全国美容産業発展戦略計画綱要」の予測にによるもので、同年の美容業界就業者数は3千万人に達する見通しという。
都市部では個人経営のネイルサロンが急速に増えるなど競争も激化しているが、そこに日本流サロンの商機があるようだ。日本では美容師は国家資格が必要で、エステティシャンやネイリストも検定試験により一定の技術を習得する。一方、中国では美容学校に数カ月通うだけで起業するのが一般的なため、日本との「技術格差」があるという。