【ハザードマップ】エム・テック/食の劇団 支払いトラブル頻発、経営ゆがむ

 ▼エム・テック エム・テックは10月22日、再生手続き廃止決定を受け、保全命令が下りた。同社は東京地裁に民事再生法の適用を申請し同月5日に再生手続きの開始決定を受けていた。今後は破産手続きに移行する。

 PC橋梁(きょうりょう)、土木、建築、解体工事などを手掛ける総合建設業者で、関東地区での建築工事や官公庁案件などを積極受注し業績を拡大。2005年9月に民事再生法を申請した中堅ゼネコンの勝村建設の受け皿会社を吸収するなど、複数の破綻企業を傘下に入れ、業界中堅に成長した。

 その後、営業エリアを全国に広げ、公共工事を中心に東日本大震災の復旧工事などで完工高を伸ばし、17年7月期は売上高約244億2700万円を計上した。一方、下請け業者や取引業者への支払いトラブルが頻発していた。また、17年12月に民事再生法を申請したPROEARTHのスポンサー企業になることを表明したが、同社に不正リースなどの不適切会計が発覚し、スポンサー企業を下りて話題にもなっていた。

 今年3月には、一部の公共工事で手続きの不備や施工上の問題が発生し、東京地検から港則法違反で起訴され、200以上の自治体から指名停止処分を受ける不祥事が発生。これを機に金融機関の姿勢も硬化したことから資金調達も限界に達し、10月1日に民事再生法の適用を申請した。その後、スポンサー支援を得ることが困難となったことから今回の措置となった。

 ▼食の劇団 食の劇団は10月4日、東京地裁から破産開始決定を受けた。日本産の農林水産物のブランディングや海外販路の拡大を目的に設立。生産者などが出資していたほか、官民連携ファンドの農林漁業成長産業化支援機構も3億2300万円を資本性劣後ローンとして融資していた。しかし、事業展開の遅れや競争激化などから計画通りに進捗(しんちょく)せず、事業継続を断念した。

                   

【会社概要】エム・テック

 ▽本社=さいたま市浦和区

 ▽設立=1988年10月

 ▽資本金=4億6637万5000円

 ▽負債額=253億4933万円

                   

【会社概要】食の劇団

 ▽本社=東京都千代田区

 ▽設立=2016年1月

 ▽資本金=3億2300万円

 ▽負債額=精査中

                   

 〈チェックポイント〉

 エム・テックは以前から下請け業者などへの支払いぶりの悪さで有名だった。コンプライアンス違反やワンマン経営のゆがみなどさまざまな要因が聞こえるが300億円の受注残を抱えた建設業者の破綻の影響は大きい。施工中だった復興工事やオリンピック関連工事も中断し、いまだ収束のめどは立っていない。

 食の劇団は国内の農林水産業を支援する新たな試みとして期待を集めたが、見通しが立たず事業が頓挫した。国内農業の強化には海外市場への展開が最重要課題。付加価値を持つ日本産の農林水産物は海外にも強いアピール力を持っているが、事業として成り立つかは難しく、その素地も道半ばの段階だ。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)