【北海道発 輝く】永澤機械 精密加工技術生かし航空宇宙産業に参画 (1/3ページ)

永澤機械の工場内部。5軸マシニングセンタなどで100分の1ミリ単位の精密加工を手掛ける
永澤機械の工場内部。5軸マシニングセンタなどで100分の1ミリ単位の精密加工を手掛ける【拡大】

  • 永澤機械の工場内部。5軸マシニングセンタなどで100分の1ミリ単位の精密加工を手掛ける精密切削加工で製作した部品
  • 精密切削加工で製作した部品

 成長が期待されている航空宇宙産業への参入を目的に、北海道と北海道機械工業会が連携し、北海道初の航空機産業クラスター「北海道航空ビジネス検討会」が7月末に発足した。道内のものづくり企業14社をはじめ札幌市、苫小牧市、室蘭市、北海道大学、室蘭工業大学など産学官が一体となって事業を展開する。この検討会の一翼を担っているのが室蘭市にある永澤機械だ。大手鉄鋼メーカーの認定工場として技術を磨き、工作機械を駆使し、航空機の車輪を収納する降着装置の部品試作を手掛けるなど、精密加工の実績を積み上げてきた。

 大手に応えられる質

 永澤優社長は、航空宇宙産業は機体やエンジンから、治工具に至るまで裾野が広く、精密加工技術を生かせる可能性が大きいとみている。「航空宇宙産業での品質マネジメントシステム規格JISQ9100を今後3年で取得する計画でスケジュールを立てた。必要なのは時間と大きな投資、そしてたゆまぬ情熱」と産業の一翼を担う覚悟を決めている。

 「鉄の町、室蘭の地域性を生かし日本製鋼所、新日鉄住金などに育ててもらった技術力と、最新の5軸マシニングセンタなどの工作機械や、3次元測定機を使って精密加工を行ってきた。大手鉄鋼メーカーの要求に応えられる品質保証体制も整っている」

 永澤機械は優社長の父、甚太郎氏が、1956年に室蘭市で精密切削加工の個人事業として創業。日本製鋼所室蘭製作所の認定工場となり、部品修理などを受注して技術を磨いた。

 63年には法人を設立、67年に富士製鉄(現・新日鉄住金)室蘭製鉄所からも修理や加工などを請け負った。大手鉄鋼メーカーの仕事を請け負いながらノウハウを積み上げ、素材の熱処理から機械加工、仕上げ、組み立てなど一貫した生産体制を構築してきた。

 国際展に出展

 しかし、重厚長大から軽薄短小と産業界の構造が変化する中、鉄鋼関連産業の陰りが見え始める。

 こうして新分野を模索し始め、参入したのが射出成形事業だ。射出成形機や金型の設計・製作などを手掛け、雪かき用のスコップ、塩ビ管の継ぎ手を製品化するなど事業を拡大した。

 さらに3本目の柱として、ホワイトメタル(すず・亜鉛などの合金)軸受けを手掛け、JR貨物の車両向けに月2000~2500個を東日本全域に納品した。

 また自動車関連では、いすゞ自動車北海道工場(苫小牧市)にエンジンシリンダー金型やアルミダイカスト製品の鋳造用金型などを、トヨタ自動車北海道工場(同)にはアルミダイカスト用のほか、鍛造用などの金型を納入している。5年ほど前には世界シェア70%超の自動車部品メーカー向けに、高硬度の特殊鋼鍛造用金型も製作した。

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