保険各社、ベンチャーの知恵頼り協業 新発想事業が必須

第一生命保険が東京・渋谷に設けた新サービスの研究拠点=7月
第一生命保険が東京・渋谷に設けた新サービスの研究拠点=7月【拡大】

  • 保険各社のベンチャーとの取り組み

 保険各社がベンチャー企業との協業を強化している。人口減少によって主力の国内市場の縮小が避けられず、既存の保険事業の収益力強化が必要だからだ。保険各社は異業種の技術や知見に熱い視線を注いでおり、新たな稼ぎ頭となる商品や事業の創出を目指す。

 第一生命保険が東京・渋谷に設けた新サービスの研究拠点では、約20人の社員がベンチャー関係者と打ち合わせを重ねる。目指すのは従来にない発想の保険商品。寺本秀雄副会長は「本社は介入しない。良い化学反応を起こしたい」と話す。

 まずはスマートフォンで契約が完結し、少額で加入できる保険を開発する。「保険離れ」が進む若者の需要を、スマホを通じて取り込むためだ。他の新商品も並行して開発しており「保険とIT技術の融合を加速する」(寺本副会長)という。

 日本生命保険は今夏、国内外のベンチャーから新商品や新規事業のアイデアを募った。協業相手に選ばれた企業は、日本生命が保有する個人や法人の顧客基盤に加え、契約者の意見など膨大なデータを利用できる。

 約100社から応募があり、日本生命はこれらの有望な企業などに計100億円を投資する方針。担当者は「ベンチャーの優れた技術と、日本生命の経営資源を相互に生かせる」と期待する。

 SOMPOホールディングスは昨年11月、イスラエルにベンチャーを発掘する拠点を置いた。現地にはサイバー関連の先端技術が集積するが、米西部シリコンバレーよりも日本企業の進出が少なく、他社に先駆けて保険事業に生かせる情報を集められるという。