「GROW360採用」はスマートフォンで簡単に適性検査ができる【拡大】
HR(ヒューマンリソース)テックのスタートアップ企業、Institution for a Global Society(IGS、東京都渋谷区)は、人工知能(AI)を使って多様な企業の採用活動を支援する適性検査サービスの提供を始めた。東京大、慶応大と共同開発し、大企業を中心に導入実績のあるAIエンジンで蓄積した約2200万件のデータをベースに、中堅・中小企業や中途採用など事業規模や採用形態を問わず、低価格で1人からでも適性判断できる採用のミスマッチ解消ツールとして売り込む。
大企業で実演
新サービス「GROW360採用」はスマートフォンを通じゲーム感覚で検査でき、受検者の潜在的な性格・能力を定量化、可視化する。受検者自身による性格(気質)診断、コンピテンシー(行動様式)の評価と友人ら他者評価に、ITリテラシー、英語などのスキルを加えた「360度評価」で測定し、評価の信頼性を高めた。創造性や感情コントロール、外向性といったコンピテンシーは25項目あり、企業が自由に選択できる。算定したスコアはエントリーシート(ES)とともに、企業の採用担当者が選考の補助ツールに用いる。
検査はスマホの画面に現れる単語から親和性のある別の単語を選ぶ100程度の設問により指の動きや速度を1000分の1秒単位で検知するため、「受検者が対策できない」(中里忍取締役)という。
IGSは東京大、東京理科大などの大学系ファンドなどが出資し、2010年に設立した。適性検査サービスは16年に「GROW360」として提供を始め、今年10月1日時点で全日本空輸、東京海上日動火災保険や野村証券など学生の就職人気ランキングで上位企業を含む数十社の採用実績があり、50万人以上が利用する。
受検費用安く
大企業向けは正解データが必要で独自モデル構築に費用がかさむのに対し、新サービスはこれまで蓄積したデータを機械学習により精度の高いモデルとして汎用(はんよう)性を備えたことで、受検費用を1人当たり4000円(年間10万円のデータ管理料が別途必要)に抑えた。経済産業省の「IT導入支援事業者」の認定を得ており、11月19日までの申請で、導入費用の最大50%(上限50万円)が補助金対象となる。