年賀状離れ加速…日常使い狙う プリンター各社新製品、活路は「大容量化」

インクジェットプリンターの国内市場環境
インクジェットプリンターの国内市場環境【拡大】

 秋が深まる中、今年も年賀状印刷に便利なインクジェットプリンターの新製品が出そろった。もっとも、新年のあいさつをメールやSNS(交流サイト)で済ませる人が多くなり、市場規模は縮小が続く。各メーカーは、1枚当たりの印刷コストを節約できる「大容量インク」の機種を増やすなどし、年末以外の“日常使い”を広げたい考えだ。

 「『プリンターは安く、インクは高く』というビジネスはもう成立しない」

 ブラザー工業が9月に開いた新製品発表会で、子会社ブラザー販売の三島勉社長は力説した。新機種の「ファーストタンク」シリーズは、インクカートリッジの容量を従来比10(3色)~16倍(黒)に増やした。毎月500枚印刷しても、交換は1年以上必要ない。

 A4判対応2機種(想定本体価格約3万5000円、約4万円)の場合、1枚当たりの印刷コストはカラー3.7円、モノクロ0.7円と従来比で40~70%以上安い。印刷の機会が多い小規模店舗のニーズも狙う。

 大容量モデルが国内市場に占める割合はまだ約3%だが、2017年度は前年度比約3倍に急増した(台数ベース、GfKジャパン調べ)。インク交換の手間を省ける点も支持され、各社の注力機種となっている。

 「オフィス以外でも大容量モデルの人気が高まっている」と話すのは、「エコタンク」シリーズで先行するセイコーエプソンの担当者だ。今秋は、家庭のインテリアに合わせやすい白いボディーのA4判対応機(公式サイトでの本体価格4万1980円)を投入した。

 キヤノンはさらに、プリンターの使い道も広げる。9月発売の「ピクサス」シリーズ2機種(同3万880円、4万880円)はネイルシールの印刷に対応。「好みのデザインを作り、イベントなどでおそろいのネイルアートを楽しんで」と女性へアピールする。

 調査会社IDCジャパンの三谷智子リサーチマネージャーは「年賀状に代わる需要を創出するには、一覧性や確実な保存など『紙の優位性』を訴求することが必要だ」と指摘する。(山沢義徳)