【現場の風】三井物産 アジア、中東、アフリカの順で販売重視


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 ■三井物産執行役員食料本部長・吉川美樹さん(56)

 --食料事業の重点分野は

 「糖質、タンパク質、脂質、主食、紅茶・コーヒーといった嗜好(しこう)品の5分野で、原料調達から加工・販売までの一貫体制を構築する。従来以上にアジア、中東、アフリカの順番で販売目線を重視したい。生産地対策も重要だ。豪州は干魃(かんばつ)が増えている。ロシアは農業生産の適地が拡大した。気候変動の要素も考慮したい」

 --インドネシアを中心にアジアで総合食品事業を展開するFKSフード&アグリに出資した

 「東南アジアで人口が最大のインドネシアは食品加工の重点市場だけに、FKSが港湾の後背地に持つ食品工場群に日本企業を誘致していきたい」

 --ロシア食料大手ロスアグロとの協業の狙いは

 「ロシア政府は、エネルギー偏重の経済構造を多角化し、農業と食品加工産業の振興を国策に掲げる。欧州の経済制裁で国民生活に影響が出たのが教訓だ。小麦などの穀物輸出や、出資先の食肉加工会社スターゼンを通じて日本の食肉加工技術の移転も検討したい。デジタル技術による農業の生産効率化にも商機がある」

 --三井製糖と共同で砂糖事業を強化する

 「日本向け粗糖の安定供給に加え、アジア中心の成長市場開拓にかじを切った。約370億円を投じ、三井製糖と共同運営するタイの製糖会社の生産能力を来秋に現在の3倍の30万トンに拡大する。10月には共同で東南アジアの製糖大手を買収し、リテール市場にも参入した。付加価値の高い製品で業務用と小売り市場を開拓する」

 --水産事業は

 「健康指向で世界の水産物需要が拡大する中では、養殖事業が重要になる。サケはチリ以外の生産地多角化を検討する。極洋とグループの飼料大手フィード・ワンの合弁会社を通じ完全養殖クロマグロも生産している」

                   

【プロフィル】吉川美樹

 よしかわ・みき 小樽商科大商卒、1984年三井物産入社。食料・リテール本部食料・リテール事業部長、アジア・大洋州本部食料・リテール商品本部長兼アジア・大洋州三井物産シニアバイスプレジデント、2015年から現職。北海道出身。