【山本隆三の快刀乱麻】ゴア元米副大統領も投資、巨額資金が流れ込む米中EV市場 (1/4ページ)

テスラのイーロン・マスクCEO(AP)
テスラのイーロン・マスクCEO(AP)【拡大】

  • 中国・上海のショールームの中に展示されているニオの「ES8」=9月(ブルームバーグ)
  • プロテラのライアン・ポップルCEO(ブルームバーグ)

 米EVベンチャー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は8月7日、ツイッターで「テスラを私企業(非公開)化することを考えている。株式を1株420ドルで買い取る予定で、資金は確保済み」とつぶやいた。

 420ドルでの買い取りが約束されたテスラ株は、買い注文を集め上場以来の値上がりとなり、同月7日の終値は前日終値(341.99ドル)より11%高い379.57ドルとなった。テスラは赤字が続き、資金調達が不透明になっていたことから、証券アナリストの一部からは「破綻近し」の見方も出ていた。そのため、同社株は株式市場最大の空売り銘柄になっていたが、ツイートを受けて手仕舞う投資家も多く、空売り残高は急減した。

 ツイート内容が事実かどうか市場でも疑う声が出ていたが、マスク氏は同月13日、サウジアラビアの公的ファンドと資金交渉を行っており、話がまとまると思ったのでツイートしたと釈明した。見通しの段階で「資金は確保」と表現したことになり、これが適切だったかどうか議論を呼ぶことになった。

 その後、米証券取引委員会(SEC)や米司法省がテスラの調査に着手したことが明らかになった。「何人も、証券売買に関連し重要事項の虚偽を述べてはならない」との米証券取引法「10b-5」に抵触している疑いがあるためとみられる。テスラは司法省からの要請に応じ自主的に書類を提出したが、それ以上の調査対象などはないと発表している。

 しかし、SECは9月27日、マスクCEOがテスラを私企業化することに関し虚偽の発信を行ったとして、提訴に踏み切った。その後、和解したがマスクCEOの役割は制限されることになる。

 中国は現在、電気自動車(EV)の販売台数、累積台数とも世界一となっており、ニューヨーク株式市場に上場を果たす中国EVベンチャーも登場している。米国では、非上場のEVバスメーカーがダイムラー、BMW、アル・ゴア元米副大統領が関与するファンドなどから資金を集め、注目されている。EV市場に巨額の資金が流れ込み、競争はますます激化しそうだ。

 中国に登場した新星

 2017年のEV(プラグインハイブリッド車=PHVを含む)の世界販売台数は115万台で、うち50%強は中国で販売された。世界のEV累積台数は300万台を超えたが、中国はその40%を占めている。産業振興と大気汚染対策に力を入れる中国の中央、地方政府がEV導入拡大を後押ししており、同国のEV市場は急成長している。

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