アマゾンも参戦"QRコード決済"のうまみ (2/3ページ)

アマゾンジャパンが8月28日、東京で公開したQRコード決済サービス(写真=時事通信フォト)
アマゾンジャパンが8月28日、東京で公開したQRコード決済サービス(写真=時事通信フォト)【拡大】

  • 昨年6月に日本銀行が発表したレポート『モバイル決済の現状と課題』より。店頭でモバイル決済を利用するという回答は6.0%にとどまった

 なぜなら、現金の利用にはさまざまなコストが発生するからだ。金融機関は現金の流通に備えて保管場所(金庫)を設置しなければならない。ニセ札の流通を防ぐにもコストがかかる。店舗は、つり銭などのために高額紙幣を硬貨に両替したり、レジにも人員を配置したりしなければならない。レジの現金残高の確認は多くの企業が時間を割く(コストのかかる)作業の1つだ。

 キャッシュレス決済のテクノロジーを導入すれば、そうしたコストを抑えることができるだろう。それは企業が経費を削減し、収益性を維持・強化するために重要な取り組みといえる。その中で大きな注目を集めているのがQRコード決済だ。スマートフォンの普及とともに、世界全体でQRコードを用いた決済が主流になりつつあるといっても過言ではない。

 その理由は、数あるキャッシュレス決済の方式の中でも、QRコード決済の運営にかかるコストが低いと考えられるからだろう。スイカなどの電子マネー(プリペイド方式をとり、NFC方式を用いるキャッシュレス決済の方法)を使うためには、ICチップに記録されたデータを読み込むことが必要だ。小規模の事業者にとって、そのコストを負担することは容易ではないだろう。相対的な運用コストの低さという点で、QRコード決済は魅力的で、結果的にアジア圏を中心に世界的普及が進んでいる。

“おサイフケータイ”が失敗した理由

 一方、わが国では海外とはやや異なる展開が進んできた。街中では、交通系電子マネーを使う人をよく見かける。依然として現金支払いを求める店舗も多い。背景には、わが国のキャッシュレス決済の規格が独自の発想に基づいてきたことがある。

 1990年代から、わが国の企業はキャッシュレス化への取り組みを進めた。2004年には、携帯電話で支払いを行う“おサイフケータイ”のサービスが開始された。ただ、おサイフケータイは思うように普及せず、NTTドコモなどはQRコード決済事業を重視し始めた。

 その理由の1つは、おサイフケータイがわが国独自のNFC規格に基づいていたことだ。端的に言えば、ガラパゴス化だ。わが国企業が独自の規格を重視した結果、他国で多く使われている規格との互換性の確保や環境変化への対応が難しくなったのだ。

 NFCの規格には、ソニーの開発したFeliCa(NFC-F)のほか、蘭NXPセミコンダクターズの開発したNFC-A、米モトローラの開発したNFC-Bがある。おサイフケータイはFeliCaを用いてきた。一方、国際的にはNFC-AとBの規格がメインとなっており、FeliCaは日本国内での使用が主とみられる。

国内メーカーはスマホに対応できなかった

 大きかったのは、国内電機メーカーがスマートフォンの登場に対応できなかったことだ。世界のスマートフォン市場では、米アップルや韓国、中国企業がシェアを競っている。一方で国内企業は携帯電話事業からの撤退が増えている。それに伴い、国内規格に準拠した“おサイフケータイ”の存在感が低下したのは、ある意味当然だ。

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