【高論卓説】ビジネスの安全と成功のために、当たり前や常識を疑え (2/3ページ)

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 「AIが判断したから大丈夫」などという説明があるが、説明している人はAIが何を基準にして、どういうプロセスでどう判断したかを知らないのではなかろうか。仮にAIをプログラムした技術者が間違っていたり、不正プログラムを導入していたりした場合、ユーザーはどうやって不正を発見するのであろうか。AIの判断の妥当性はどうやって検証するのであろうか。これではAI神信仰である。未開人の万能神崇拝と変わりがないではないか。

 いわゆるビッグデータも同様である。ビッグデータは誰がいつ収集したどういうデータを、どういう基準と根拠で利用するのであろうか。またその有効性は立証されているのであろうか。ソフトウエア業界は「2001年問題」のように、はやりのトピックを作って売り上げを増やそうとしているのではないか。

 東日本大震災の前までは、いわゆる「原子力神話」が広がり、原子力は絶対に安全でかつコストも安いということが、世間で信じられていた。ところが原子力発電のコストには、原発事故の対策費用が入っていなかったのである。原子力発電を推進したい人々が、発電コストを低く見せるため、事故コストを算入していない費用を公表していたのである。

 似たような例を挙げると、仮想通貨はブロックチェーンという新技術を使っているので、絶対に安全であるという「神話」である。しかし絶対安全であるはずの仮想通貨が盗まれたり、勝手に送金されたりする事例が現実に世界中で起こっている。仮想通貨の専門家はこれをどう説明するのだろうか。技術は理解できないのに、受け売りで「絶対大丈夫」と言っていた人々はどう考えているのだろうか。

希望的判断