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日本ワイン「130年の味」認知度高める 岩の原葡萄園・神田和明社長

 国産ブドウを使用した「日本ワイン」がブームになっている。味わいの良さから入手困難なブランドもあるほどだ。約130年前から新潟県上越市でブドウやワイン造りを手掛け、日本ワインの“パイオニア”とされる岩の原葡萄園の神田和明社長に、日本ワインの現状や今後の事業展開などを聞いた。

創業者はブドウの父

 --日本ワインの人気をどうみる

 「かつて2000円以上払うなら輸入ワインを買うという消費者が多かった。しかし、ここ数年でワインの原料となるブドウの栽培技術や醸造などワイン造りの技術が向上し、ワインの質が高まった。価格と味のバランスの良さが人気の背景にある。生産者の努力でワインの品質は年々、上昇しており、ウイスキーだけでなく、ワインもジャパンブランドの見直しにつながるはずだ」

 --ブームは続くのか

 「ブームとはいえ、輸入ワインを含めた国内ワイン市場で日本ワインのシェアは5%程度にすぎず、国内における存在感はまだまだといったところだ。ただ、より質の高いワインを造るため、生産者は常に努力を続けている。味わいのあるワインが増えれば、さらに存在感は高まるはずだ。将来、日本ワインは国内ワイン市場で4分の1を占めるポテンシャルがあるとみている」

 --そのポテンシャルをどう引き出す

 「日本ワインの認知度そのものが低く、これを早急に高める必要がある。10月30日から日本ワインのラベル表示が厳格化された。消費者にとって大きなプラスとなるだけでなく、日本ワインのブランド向上にもつながるはずだ」

 --岩の原葡萄園のワインの認知度は

 「当社のワインも知名度が低い。販売の約8割が新潟県内と地元に支えられている。ちょうど今年は当社の創業者、川上善兵衛の生誕150年に当たる。川上は、山梨県内のワイナリーでも使用されている赤ワイン用のブドウ品種『マスカット・ベリーA』を生み出し、日本ワインブドウの父と呼ばれる。こうした川上の功績を知ってもらうと同時に、当社のワインを味わってもらおうと新潟市内などを中心にワインの試飲会を4月以降、40回以上開催した。来年以降も引き続き開催し、2020年の創業130周年までにさらに認知度向上に努め、より多くの人に当社のワインを楽しんでもらいたい」

グループで人材育成

 --課題は

 「人材育成だ。ワイン造りのスキルアップには教育が欠かせないからだ。当社はサントリーグループの一員で、同グループ内には『登美の丘ワイナリー』(山梨県甲斐市)や『塩尻ワイナリー』(長野県塩尻市)といった大規模なワイナリーがある。より良いワイン造りに向けグループ内での情報やノウハウの交換などを行っている。さらに、来年は当社の社員がグループ内のワイナリーに赴いて研修などを行うことも計画している。サントリーグループでシナジーを追求していきたい」

                   

【プロフィル】神田和明

 かんだ・かずあき 小樽商科大商卒。1983年サントリー(現サントリーホールディングス)入社。2006年福岡支店長、07年広域営業本部部長、15年サントリー酒類執行役員・北海道支社長。18年4月から現職。58歳。北海道出身。

                   

【会社概要】岩の原葡萄園

 ▽本社=新潟県上越市大字北方1223番地

 ▽設立=1890年

 ▽資本金=1億円

 ▽従業員=23人(2018年4月現在)

 ▽事業内容=ブドウの生産、ワインの製造・販売

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