日本公庫、中小向け協調融資が倍増 民業圧迫批判受け

 日本政策金融公庫が、地方銀行などと連携して行った中小企業向け協調融資の実績が、2018年度上半期に前年同期の2倍以上に拡大したことが26日、分かった。商工中金による不正融資などで政府系金融が民業を圧迫しているとの批判が高まる中、民間金融機関との連携を積極的に進めたことが背景にある。近く公表する。

 中小向け協調融資の実績は17年度上半期は約1600件だったが、18年度は3600件超に増えた。中小向け以外の融資を含めても、1万5000件超と約1.4倍に増加。金額は総額約5700億円で前年同期の3722億円から拡大した。

 政府系金融をめぐっては昨年、全国地方銀行協会が、政府系金融が民間から融資機会を奪うなど民業を圧迫した例が424件あったとする内部調査をまとめ、金融庁に報告。内訳は日本公庫が全体の61.3%に当たる260件を占めていた。商工中金は25.7%の109件だった。

 民業圧迫との批判を受け、日本公庫は今年に入って融資の際、顧客に地元の金融機関を紹介するなど民間との連携を一層推進。こうした姿勢が上半期の協調融資の増加につながった。日本公庫幹部は「今後も民間との連携を加速させていきたい」としている。