日産・ルノー、綱引きの勝者は きょう3社連合協議、資本関係見直しへ

フランスのマクロン大統領(左上)、三菱自動車の益子修CEO(中央)、日産自動車の西川広人社長(右上)、カルロス・ゴーン容疑者(左下)と検察庁の入る庁舎を組み合わせたコラージュ(素材写真はAP、ロイター=共同など)
フランスのマクロン大統領(左上)、三菱自動車の益子修CEO(中央)、日産自動車の西川広人社長(右上)、カルロス・ゴーン容疑者(左下)と検察庁の入る庁舎を組み合わせたコラージュ(素材写真はAP、ロイター=共同など)【拡大】

  • 3社連合協議の見通し
  • 3社協議の焦点

 企業連合を組む日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の首脳は29日、3社の統括会社の代表を務めるカルロス・ゴーン容疑者の逮捕を受け、今後の連合の在り方を協議する。同日は3社連合を維持する方針の確認などにとどまりそうだが、日産は、ルノーとの資本関係見直しの第一歩にしたい考えだ。見直しには、(1)現状維持(2)対等な関係の実現(3)両社が対立-という3つのシナリオが想定されている。

 協議は統括会社があるオランダ・アムステルダムで日本時間の夜に開かれる見通しだ。日産の西川(さいかわ)広人社長と三菱自の益子修最高経営責任者(CEO)はインターネット中継で参加するとみられ、ルノーからはティエリー・ボロレCEO代理が出席する予定だ。

 日産株の43%を保有し、議決権を持つルノーは、日産の経営に影響力を持っている。ルノー筆頭株主の仏政府とともに、現状の枠組みの維持を狙っているようだ。3社連合を束ねるトップはルノー会長を務めるゴーン容疑者が兼務していたが、後任人事についてルメール経済・財務相は「(引き続き)ルノー会長が務めるべきだ」と話しており、日産に対し優位性のある立場を確保し続けようとするルノーを仏政府がバックアップしている構図がうかがえる。現状維持でまとまった場合、日産社内の不満は増幅し、西川社長の求心力が低下するのは必至だ。

 日産は世界販売台数や売上高だけでなく、電気自動車(EV)など次世代技術の開発力でもルノーを上回る。だが、経営危機に陥っていた1999年に出資を受けた経緯などから、資本関係では下に置かれている。日産のルノーに対する出資比率は15%にとどまるうえ、議決権はない。日産はルノーと資本関係の見直しを協議して互いの出資比率を近づけ、対等な形に変えたい考え。「この歪んだ関係を見直すことが、アライアンス(企業連合)を続ける必要条件だ」(幹部)という声も上がっている。

 両社の綱引きで重要な意味を持つのはやはり、ルノーの持つ日産株の持ち分43%だ。日産が株主総会で取締役の選任など経営の重要事項を決める際、議決権を行使しない一般株主らもいることを考えると、ルノーがほぼ決定権を持っていることになる。

 一方、日産がルノーの意向に対抗するには、ルノー株の持ち分比率を現在の15%から25%以上に引き上げる手段がある。日本の会社法では、25%まで出資比率を引き上げると、ルノー側の議決権が消滅するからだ。日産とルノーには、日産が不当な経営介入を受けた場合、ルノー株を買い増すことができるという合意もあり、資本関係で不利な立場の日産にとって、これが拠り所となりそうだ。

 もっとも、企業連合を組む会社同士が、資本の論理や過去の取り決めを振りかざし合えば、対立が先鋭化して友好関係に亀裂が入りかねない。仏政府の意向にも配慮するルノーと、ゴーン容疑者と決別した日産がそれぞれどう出るか。最悪の場合は企業連合が瓦解し、両社がともに交渉の“敗者”となる可能性もある。(高橋寛次)