前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)逮捕に揺れる日産自動車は30日、国際的な電気自動車(EV)レース「フォーミュラE」の参戦体制を東京都内で発表した。ゴーン容疑者の逮捕後、発表会開催は初めて。EV「リーフ」の新型モデルに関するイベントを延期するなど影響が出ていたが、対外的な発信力を徐々に回復させたい考えだ。
発表会では、ルードゥ・ブリース常務執行役員が「フォーミュラEは、世界中の皆さんに、(日産が)EVのリーダーであることを披露する絶好の機会だ」と強調した。29日の3社協議で合議制への移行を確認した企業連合に関しては、「パートナーのルノーと密に連携し、車を開発してきた」と述べた。事件に関する言及はなかった。
フォーミュラEには独自動車大手のBMWやアウディが参戦。日本企業ではパナソニックが英ジャガーとチームを組むが、自動車メーカーは日産が初めて。
19日の逮捕を受け、21日に予定されていたゴーン容疑者と小池百合子東京都知事の対談企画が中止となり、28日開催予定のリーフのイベントも延期。発信力低下が懸念されていた。
西川(さいかわ)広人社長(65)は社内に「予定されているビジネスはその通りに行ってほしい」とのメッセージを出しており、30日のイベントは延期を回避した。ただ、予定されていたダニエレ・スキラッチ副社長らの登壇は取りやめられた。
12月2日には、富士スピードウェイ(静岡県)でモータースポーツの祭典を予定通り開催する。会社ぐるみの犯罪でなく車の安全に関わる問題でもないが、日産を象徴する経営者逮捕の衝撃は大きい。同社は状況を慎重に見ながら対外発信の正常化を進める構えだ。