次世代自動車産業でも最大の武器になる…テスラになくトヨタにあるものとは (1/6ページ)

CES2018で自動運転機能を備えた商用電気自動車(EV)のコンセプト車「eパレット・コンセプト」を披露するトヨタ自動車の豊田章男社長(写真=時事通信フォト)
CES2018で自動運転機能を備えた商用電気自動車(EV)のコンセプト車「eパレット・コンセプト」を披露するトヨタ自動車の豊田章男社長(写真=時事通信フォト)【拡大】

  • 田中道昭『2022年の次世代自動車産業異業種戦争の攻防と日本の活路』(PHPビジネス新書)

 過去最高益と絶好調のトヨタ自動車。しかし「完全自動運転」など次世代自動車の対応は遅れているともいわれます。トヨタは本当に勝ち残れるのか。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は「トヨタには世界最高と評価される経営モデルがある。テスラが量産化で苦しんでいるように、その座を脅かすのは容易なことではない」といいます--。

 ※本稿は、田中道昭『2022年の次世代自動車産業 異業種戦争の攻防と日本の活路』(PHPビジネス新書)の第10章「トヨタとソフトバンクから占う日本勢の勝算」(全53ページ)の一部を再編集したものです。

 「3代目のボンボン」をネタにできる豊田社長の人柄

 トヨタ自動車はいま、どのようなポジションにあると見るべきなのでしょう。トヨタがCES2018において発表した「モビリティ・カンパニー宣言」を分析すると、「現状、次世代自動車への対応において、競合とはかなりの差があるように見える」という結論が導き出されます。しかし、それでもなお、トヨタは勝ち残る。私はそう考えています。

 第一の理由は、トヨタを率いる豊田章男社長の、危機感の高さです。

 自称「カーキチ」、現役のレーシングドライバーでもある彼が社長に就任したのは2009年、52歳のときです。リーマンショックによる大打撃からの復活、そしてさらなる経営強化のため、組織の変革に積極的に取り組んできました。しかしそれも、従来の自動車産業の枠内での話。ここにきてにわかに、次世代自動車への対応に向け、危機感を募らせています。

 「私は豊田家出身の3代目社長ですが、世間では、3代目は苦労を知らない、3代目は会社をつぶすと言われています。そうならないようにしたいと思っています」

 CES2018のスピーチで豊田社長が口にした言葉ですが、これはあながちジョークとは言えない、本心を多分に含んだものだと私は見ます。同時に「3代目のボンボン」であることをネタにするところに豊かな人間性と頼もしさを感じるのです。

「勝ち残りではなく生き残り」という言葉の意味