回転すしの廃棄率は? くら寿司が「3%」に抑えられるワケ (1/3ページ)

 大手回転すしチェーンで食事をしていると「たくさんのすしがレーン上に流れてくるけれど、これが全部食べられているのかなあ」と疑問を抱くことがある。しかも、「自分の好きなものだけを食べたい」という欲求があるため、テーブルのタッチパネルでどんどん注文してしまう。すると、ますますレーン上のすしの廃棄量が気になってくる。(昆清徳,ITmedia)

 では、大手回転すしチェーンではどの程度すしを廃棄しているのだろうか? くら寿司の広報担当者に尋ねてみると、一度レーンに流したすしの廃棄率は約3%だという。

 くら寿司ではすしやスイーツなど約160種類以上のメニューをそろえており、昼食などの混雑時になるとレーン上にはさまざまなすしが常時流れているが、どのようにして廃棄率を抑えているのだろうか。

くら寿司のレーンを流れるすし

くら寿司のレーンを流れるすし

O-157の集団感染をきっかけに科学的な管理を推進

 廃棄率を下げるキーとなるのは、レーン上に流れるすしを“科学的”に管理するテクノロジーだ。くら寿司はいつごろから本格的に開発に取り組むようになったのだろうか。

 そのきっかけとなったのは、大阪府堺市で1996年に発生したO-157の集団感染だ。当時、学校給食などで9000人以上が感染し、死亡者まで出たいたましい事件だ。

 堺市に本社があったくら寿司は、この事件を「他人ごとではない」と判断し、レーン上を流れるすしの管理体制を見直すことにした。

 それまで、くら寿司では皿の上に置くすしの並べ方を変えたり、皿の色を変えたりして投入時間を把握し、古くなったものを廃棄していた。

 同社が調査すると、菌がすしに付着した場合、2時間以上経過すると人体に危険を及ぼすレベルに達することが分かった。そのため、くら寿司では97年に「時間制限管理システム」を導入。皿の下にQRコードを張り付け、カメラで時間を計測するようにした。そして、レーンに投入してから55分経過したすしを廃棄するルールを作成したところ、廃棄率が10%に上昇した。安全性は担保されるが、廃棄率が高いままでは収益を圧迫してしまう。そこで、別のアプローチを考えることにした。

お客の満足度と廃棄率のジレンマ

 回転すしチェーンは、レーン上の欠品とお客の満足度のバランスをどのようにとるのかという点に腐心してきた。テーブルに着席してすしを食べようとしたときに、レーン上に自分が食べたいものがないという事態は避けなければいけない。しかし、無計画にすしを流してしまえば、廃棄のリスクは高まってしまう。

 くら寿司では科学的な管理を推進する前、レーン上に流すすしの種類や量を判断していたのは店長だった。例えば、多くのお客がメロンやアイスクリームを食べ終わった状態で、店の入口にほかのお客が並んでいたとする。そのタイミングで多くのすしをつくって流せば、新しいお客がテーブルについたときにはレーン上のすしが充実している状態になる。

 それまで、店長は頻繁にテーブルの様子を見て回り、自分の勘と経験で投入するすしを判断していた。しかし、お店ごとにサービスの質がバラバラになるという課題もあった。

廃棄率を下げるメリット