【広報エキスパート】エア・ウォーター、目標設定しリアルタイムで発信


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 □エア・ウォーター 執行役員社長室広報・IR部長 井上喜久栄氏

 --事業の原点である「空気と水」が社名になっています

 1993年に前身の北海酸素(のちにほくさん、札幌市)と大同酸素(大阪市)が合併して大同ほくさんに、さらに2000年に共同酸素と合併し、現在のエア・ウォーターが誕生しました。その後、M&A(企業の合併・買収)を通じて、産業ガスやケミカル、医療、エネルギー、農業・食品、物流、海水、エアゾールと、8つの領域で事業展開しています。251のグループ会社があり、1万4000人強の従業員がいます。

 --国内第2位の産業ガスのシェアを持っています

 酸素の供給量が最も多い分野は鉄鋼です。製鉄所の高炉(鉄溶鉱炉)では、炉内の燃焼温度を効率よく高めるために、24時間大量の酸素が必要です。製鉄所構内に設置した大型オンサイトプラントによって、時間当たり数万立方メートルの酸素を生産し、供給しています。一方、呼吸療法や麻酔導入などに使われる医療用ガスは、生命の現場を支えています。どんな時でもガスを安定供給することが、産業ガス事業の使命と責任です。

 --全国8地域に事業会社があります

 8事業を縦糸、8事業会社を横糸に、強度と伸縮性を備えたビジネスを展開しています。5月には室蘭工業大(北海道室蘭市)との間で、農業・食品分野の新技術開発の包括連携協定を締結。加工用野菜のロボット栽培技術や、人工知能(AI)を活用した温室栽培の自動制御技術などを共同研究しています。甲信越では、長野県松本市と、木質バイオマス燃料の活用や農産物のブランド化などに取り組むことを発表し、地元紙や全国紙で取り上げられました。

 --広報体制は

 メンバーは大阪5人、東京1人と私の7人です。M&Aでさまざまな企業や社員が一緒になり、成長してきたので、一体感の醸成に注力しています。その一例が、グループ報「藍」(年4回発行)です。経営トップの考えや今後の方向性、各職場の取り組み、社員の横顔を分かりやすく発信しています。

 --地元紙への広告掲載にも積極的です

 8事業地域のブロック紙や地元紙に、事業活動や地元との関わりを紹介した広告を掲載しています。事業会社の社長の顔写真も掲載し、現場の営業支援に結び付けています。「エア・ウォーターのことがよく分かりました」という声もあり、スタッフの励みになっています。

 --今後の課題は

 この1年半で、ニュースリリースの配信回数が1.5倍に増加。これからも、記事にしてもらえるようなニュース性のある話題を社内でどんどん発掘していきます。10月には、新しいブランドステートメント「地球の恵みを、社会の望みに。」を発表しました。世の中を支える製品やサービスを創造して提供することで、あらゆる暮らし、地域、産業に寄り添い、社会の望みに応え続けていく-との思いを込めています。今後も目標を設定し、リアルタイムで情報発信していきたいと考えています。(エフシージー総合研究所 山本ヒロ子) =随時掲載

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【プロフィル】井上喜久栄

 いのうえ・きくえ 1979年関西大法卒。ダイエーに入社し、広報課長、広報部長。2005年スタッフサービス・ホールディングスに移り、広報部ゼネラルマネージャー。09年富士ソフトのコーポレートコミュニケーション部長を経て、16年エア・ウォーター入社。17年から現職。東京広報室長を兼務。