【高論卓説】歴戦の百貨店人と歩く日本橋 生き残りの決め手は「お客さま目線」 (1/2ページ)

日本橋三越本店1階=東京都中央区(平尾孝撮影)
日本橋三越本店1階=東京都中央区(平尾孝撮影)【拡大】

 初冬とは思えない暖かな日差しの中、東京・日本橋の百貨店街を業界で著名な歴戦の百貨店人と一緒に歩いた。元三越常務の岩瀬敬一朗さん(80)である。パリ三越の支配人や仙台、銀座、新宿の店長のほか、経営の中枢である業務本部長などを歴任した。

 トップが解任、特別背任容疑で逮捕された1982年の「三越事件」と、ゴルフ場開発にのめり込んで巨額の特別損失を出したトップが辞任した97年の事件の、今では数少ない証人である。著作の「百貨店に明日はない-体験的百貨店論」(実業之日本社刊、2001年)は色あせない。

 三越千葉店が閉店したのは昨春、今年に入ってからも伊勢丹相模原や新潟三越などが閉店予定であることが発表された。これに対して今秋、日本橋の三越本店は改装し、高島屋日本橋店は「高島屋ショッピングセンター」を開業した。三越本店のシンボルのライオン像の前で、待ち合わせた。

 東京都の歴史的建造物に指定されている本店は、中央部の5階にまで達する吹き抜けが天窓から降り注ぐ光によって、各階のバルコニーとアール・デコ風のデザインが美しく照らし出される。ところが、吹き抜けに向かう売り場の天井が、改装によって飾り天井になった分、低くなって、アプローチから美しい光景が見づらい。

 「建物の豪華さを物語る天井が、他の百貨店と同様になってしまった」と、岩瀬さんは残念がる。中央部は改装の目玉である、買い物客の相談に応じるコンシェルジュのカウンターが主役である。

続きを読む