経営

新興国労働者送り出し拡大へ 人材各社、入管法改正が追い風

 外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案の成立を受け、海外で人材を教育して日本に送り出す動きが拡大しそうだ。人材各社からは「新たな追い風になる」といった商機を期待する声が強まっている。

 日本の在留外国人は2018年6月末時点で約263万人。17年末比で3%増え、過去最高を記録した。政府は新制度が導入された場合、5年間で最大34万5150人が日本に来るとみている。かつては中国から来るケースが多かったが、ベトナムなど新興国からの来日が著しく増えている。

 人材ベンチャーのマザーブレイン(東京都渋谷区)はベトナムで人材を教育して技能実習生などとして日本に送り出す機関を運営している。現地子会社のマザーブレインベトナム(ハノイ)の池田孝江会長は「人材が足りない中で、外国人人材を労働者として受け入れる新制度を歓迎したい」と評価する。同社はベトナムに自社の訓練学校のほか、ベトナム政府と連携して訓練学校を運営し、6月からは小学校で日本語教育する試みも現地政府とスタートした。現在3校だが、さらに数を増やしていく方針だ。池田会長は「子供のころから日本語に慣れ親しむことで、将来日本-ベトナム両国の懸け橋になる人材を育てたい」と話す。

 また、ベトナムに続く新興国として期待されるカンボジアで送り出し事業に着手したのはリネットジャパングループだ。提携する同国最大の国立職業訓練校「NPIC」の卒業生の送り出し第1弾の10人をこのほど決定した。まず自動車整備士からスタートし、幅広い職種に拡大する計画だ。同社の黒田武志社長は「新制度の成立は非常に大きな追い風。3年後に年間1000人の送り出しを行うべく、講師の採用など体制整備を急ピッチで進めたい」と話している。

 ただ、新制度に関し、管理体制などがどうなるかが不透明なことを危惧する声も強い。一部で悪質なブローカーの問題などが判明しており、マザーブレインベトナムの池田会長は「外国人労働者の管理など適切な体制をきちっと作っていただきたい」と注文を付ける。

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