脱現金の逆風、技術力で挑む 貨幣機メーカー 顔や手のひら認証に活路

グローリーの人型ロボットによる製造現場の自動化システム(同社提供)
グローリーの人型ロボットによる製造現場の自動化システム(同社提供)【拡大】

  • 手のひらの静脈認証だけでクレジットカード決済を完結できる富士通フロンテックのシステム(同社提供)

 政府が進めるキャッシュレス化で、金融機関で紙幣や硬貨を出入金したり、スーパーのレジで代金を精算して釣り銭を出したりする「現金処理機」を製造してきたメーカーが変革を迫られている。決済の電子化が進めば市場縮小の恐れがあるためだが、これを逆に好機とみて、培った技術を活用して新たな事業に乗り出す企業も現れ始めた。

 現金処理機大手のグローリーは今秋、音声認識技術を手掛けるフュートレックに出資し、提携した。これまで紙幣の識別で培った画像処理技術を生かして高精度の顔認証システムを開発。ソフトバンクの人型ロボット「ペッパー」や、ロボットが接客するハウステンボス(長崎県)の「変なホテル」の客室などに採用されてきたが、音声認識も取り込むことでより高精度の個人認証を目指す。

 キャッシュレス決済の本人確認だけでなく、空港などの通関エリアや医療機関でのセキュリティーにも応用できる。尾上広和社長は「新市場に積極的に取り組む」として、人型ロボットによる製造現場の自動化システムにも本格参入する考えだ。

 現金自動預払機(ATM)を手掛ける沖電気工業は、自動販売機などの利用者の顔から人工知能(AI)が感情を推定し、接客に生かす技術の開発に着手。例えば券売機の前で焦ったり、困ったりした表情の人がいれば自動で係員につなぐことなどを想定している。

 富士通フロンテックは手のひらの静脈認証だけで本人を特定し、クレジットカード決済を完結できるシステムを開発した。販売情報管理システム大手の東芝テックは、スーパーや飲食店などジャンルの異なる全国約400店舗で共通の電子レシートを発行するシステムを展開。購買履歴から買い物客一人一人の傾向も分析でき、効率的な販促により新たな商機を生み出すことを目指す。