【ぐるなびのチョットぐな話】今年の一皿は「鯖」 缶詰ブームに

2018年「今年の一皿」記者発表会の様子=6日、セルリアンタワー東急ホテル(東京都渋谷区)
2018年「今年の一皿」記者発表会の様子=6日、セルリアンタワー東急ホテル(東京都渋谷区)【拡大】

 2018年も食の分野では流行が数多く生まれた。めまぐるしく変化するグルメのトレンドも、ひもとくと時代を象徴する要素を含んでいて非常に興味深い。

 ぐるなび総研が発表した18年の「今年の一皿」には、「鯖(さば)」が選ばれた。一年を通して災害が多発し缶詰などの非常食の重要性が再認識されたことや、健康効果が期待できることからサバ缶が女性を中心にブームとなり一時店頭で入手困難になるなどの社会現象を引き起こした背景などが浮かび上がる。

 今年の一皿は、ぐるなびが保有するビッグデータを基に会員対象のアンケートと75社122媒体のメディア関係者の審査、実行委員会の最終承認を経て決定。準大賞には「しびれ料理」が選ばれ、ほか「高級食パン」「国産レモン」がノミネートした。

 6日に開かれた発表会では、水産関係者らで構成する大日本水産会の白須敏朗会長に記念品が授与された。同氏は「サバの漁獲は安定的に伸び、持続可能な漁業の優等生。一皿といわずどんどん食べてほしい」と大いに喜びを語った。

 続いて行われたトークセッションには専門家らが登壇。水産研究・教育機構中央水産研究所資源管理研究センターの由上龍嗣主任研究員は「サバは日本国内における漁獲量の1割を占める水産業のエース。今年も豊漁が期待できる」と説明。サバの愛好家でつくる全日本さば連合会の小林崇亮会長は「当たり前の存在すぎて知られてないことも多く、産地により身質や食べ方、加工品などの特徴がある。改めて見直すきっかけになれば」と話した。同会の池田陽子さんも「サバ缶ブームでオシャレなパッケージの商品も増え、女性が健康・美容面で注目している。食卓に並び子供たちも食べる機会が増えるのでは」と期待を寄せた。

 東京大学医学部に在学し、司法試験に合格した河野玄斗さんは「DHA、EPAが含まれ脳にも良いといわれており、タンパク質も豊富。おやつ代わりに食べて司法試験に受かったので、僕にとってはラッキーフードです」と体験談を披露した。

 18年の世相として、訪日外国人観光客が6年連続で過去最多となったことや83年にわたり日本の食文化を支えた築地市場の豊洲移転も挙げられた。その点からも、サバは後世にも伝わるニュースを代弁した食といっても過言ではない。来年はいったい、どんな“一皿”がブームとなるのだろうか。

 ■今年の一皿

 gri.gnavi.co.jp/dishoftheyear