【木下隆之のクルマ三昧】高速道で50km/h規制? 不可解な日本の速度制限 (3/3ページ)

 逆に、近所の買い物客でごったがえす商店街が20km/h規制なこともある。乳母車を押す主婦や杖をつく老婆や、元気に駆け回る子供達で賑やかな商店街では、とてもじゃないけれど20km/hで走行したら危険である。自転車が道を塞ぎ、八百屋は人参やキャベツを店の前に陳列している。コロッケを揚げる匂いが香ばしい。それはそれでのどかな商店街の一風景だ。そこを20km/hで走行しても違反の対象ではないのは不可解だというしかない。

 環境に即したドイツ

 ドイツなどは速度違反に厳格だけど、環境に即している。速度無制限のアウトバーンがその好例だ。郊外のカントリーロードの法定速度は100km/h。件の東名高速50km/h規制の倍の速度で、対向車も飛び出しも交差点もある国道を飛ばしても許されるのである。

 だが一転、村や公園があるエリアに差し掛かると、30km/hに制限される。エリアの入り口には掲示板が点灯して速度制限を知らせるし、自動速度取締機(オービス)が睨みをきかせている。つまり、安全なところは快適に走り、危険なエリアはゆっくりね…という合理的な考えが根底にあるのだ。

 見渡す限り地平線のような道路が60km/hで、商店街が20km/hなどという不合理はない。高速道路で意味不明な50km/h規制が続けば、だれもその表示に従わなくなるだろう。高速とは名ばかりである。

 ともあれ、みなさま安全運転を心がけましょう。交通の流れに沿うように…。

【木下隆之のクルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちらから。

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【プロフィル】木下隆之(きのした・たかゆき)

木下隆之(きのした・たかゆき)レーシングドライバー 自動車評論家
ブランドアドバイザー ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。