【回顧2018】KYB、免震・制振装置の検査データ改竄 ものづくりの信頼回復遠く (1/2ページ)

 国内製造業では2017年に続いて不祥事が相次ぎ、高い安全性や品質をうたった「日本のものづくり」の信頼回復は、さらに遠のいた。油圧機器メーカーKYBは10月、免震・制振装置の検査データ改竄(かいざん)を公表。対象物件は1000件近くに上り、背景には納期厳守の圧力を受ける現場の苦悩が浮かんだ。

 KYBと子会社は、装置の性能が国や顧客の基準の範囲内に収まるよう数値を書き換えていた。マンションや病院、庁舎などの物件が対象で、所在地は全都道府県に及ぶ。建物名の公表は12月上旬時点でも全体の約1割にとどまっている。

 不適合になると、時間をかけて装置を分解・再調整する必要があり、現場の検査員が納期を守るために偽装したとみられる。

 相次ぐ震災を背景に装置の需要は高まる中、人手が追い付かないという不均衡が不正の温床となった可能性もある。

 KYBは20年9月までに装置を交換する方針だが、制振装置は建物に埋め込むように設置されており、難工事が見込まれる。想定通りに工程が進むかは不透明だ。

 装置の不正はシェア首位のKYBに続き、川金ホールディングス子会社でも発覚。ともに交換対応を優先し、装置の供給不足の懸念も強まっている。一連の問題を受けて国も有識者会議を立ち上げ、18年度内に再発防止策の提言をまとめる。

 製品データをめぐる不正は17年秋に神戸製鋼所などで明らかになり、18年に入っても日立化成やクボタ、三菱電機子会社で発覚。

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