【回顧2018】携帯値下げ求め政府の包囲網 複雑で分かりにくい料金体系問題視

 「4割程度値下げする余地がある」。8月21日、菅義偉官房長官が札幌市の講演で携帯電話の通信料金引き下げを求め、大手携帯各社に困惑が広がった。官房長官の異例の発言を受け、総務省は料金体系の見直しなどを議論する有識者会議を設置。政府の規制改革推進会議も携帯市場を主要テーマに掲げ、業界への包囲網が構築された。

 総務省によると、各社が提供するデータ通信の大容量プランは国際比較で割高感が強い。政府は複雑で分かりにくい料金体系を問題視し、端末代金と通信料金が一体化したプランが価格高止まりの原因だと着目した。

 携帯業界は、政府が民間企業の価格戦略に口を出すことに反発。NTTドコモの吉沢和弘社長は9月、記者団に「(料金が)高いとは思わない」と語った。ただ携帯は1億7000万件超の契約数がある社会インフラで、高機能なスマートフォンの利用も広がっている。官邸関係者は「料金は国民の関心が高い」と強調した。

 結局、政府の意向に真っ先に応えたのはドコモだった。10月31日の決算会見で、吉沢氏が2019年4~6月期から2~4割程度値下げすると表明。「シンプルで分かりやすい料金に大胆に見直す」とし、端末代金と通信料金の分離プランを主力にする方針を示した。

 KDDI(au)、ソフトバンクも追随する見通しだ。来年秋に参入する楽天も、価格で「新風を吹き込みたい」(三木谷浩史会長兼社長)としている。

 規制改革推進会議は11月19日に安倍晋三首相へ提出した答申で、端末代金と通信料金の分離を徹底する政策を総務省に要請。消費者庁、公正取引委員会を巻き込み、流れは確実になった。

 総務省の有識者会議は、値下げに向けた緊急提言案を公表した。販売代理店を届け出制にし、不適切な端末販売に対する行政の監視を強めることなども盛り込んだ。