【2019 成長への展望】日野自動車社長・下義生さん(59)


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 ■次世代市場に備え、欧州勢とも連携

 --「100年に1度」と呼ばれる自動車産業の大変革の波が押し寄せている。どう対応するか

 「大変革期を踏まえて新しいことをやっても、顧客である運送事業者やバス事業者のためにならなければ意味がない。二酸化炭素(CO2)排出量を『ウェル・ツー・ホイール(燃料採掘から車両走行まで)』という観点から削減する対応も求められる。事業者や社会が真に求めるニーズを可能な限り先読みし、商品やサービスで『現実的な解』を出していきたい」

 --新しい物流システムを提案する全額出資の新会社を昨年6月設立した。当面の取り組みは

 「ドライバー不足の解消や輸送効率の向上に貢献すべく、荷主や運送事業者らと連携して準備を進めている。例えば、ビールや菓子など業種が異なる複数の企業の貨物を同じトラックに積んで運べるようにする。将来、複数の物流拠点を高速道路のサービスエリアに設け、拠点間を自動運転技術を搭載したトラックが走るといった展開が現実味を帯びる可能性もある」

 --トヨタ自動車が次世代の移動サービス分野でも存在感を高めようと、異業種との提携を加速させている。トヨタグループの日野としての対応は

 「1社ではできないが、やりたいビジネスが明確になれば、異業種との連携が必要になる。例えば、トヨタが開発している自動運転EV(電気自動車)『e-Palette(イーパレット)』は商業利用もイメージしており、われわれが目指すべき次世代車の姿に近い。イーパレットを実用化する段階で、商用車の観点から意見交換に加わる可能性がある」

 --独フォルクスワーゲンの商用車部門トレイトンとの間で昨年9月、電動トラックや電動技術の共有化を進めると発表した。同業他社と組む狙いは

 「似たような会社であってもわれわれと欧州勢とでは得意技術も見方も異なるため、学ぶことが多い。次世代市場に全方位で備える必要がある中、経営資源を効率的に活用する効果も期待できる。トレイトンが大型トラックの電動化に、日野はハイブリッド車や中小型EVの開発に集中するといった連携が考えられる」

 --2025年度に世界販売台数を17年度の約1.6倍に相当する30万台に高める目標を発表した

 「成長の余地がある東南アジア地域などでシェアの拡大を目指す。新車販売よりも利益率が高い購入後の保守サービスも強化し、収益基盤の強化につなげる。車社会の変革のスピードが速い中国に『実ビジネス』で深く入り込まなければ取り残されるとの危機感もあり、同国に投入する経営資源も増やしたい」

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【プロフィル】下義生

 しも・よしお 早大理工卒。1981年日野自動車工業(現日野自動車)入社。北米事業部部長や執行役員などを経て、2016年トヨタ自動車常務役員。17年6月から現職。東京都出身。