【2019 成長への展望】ブリヂストン会長兼CEO・津谷正明さん(66)


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 ■タイヤの変革期を勝ち抜く態勢強化

 --世界のタイヤ需要の今後の見通しは

 「新興国の経済発展を背景に車の需要は拡大し、走行距離も増える方向にある。このため、世界のタイヤ需要は堅調な伸びを示すだろう」

 --拡大するタイヤ市場でアジア勢が攻勢を強め、上位3社(ブリヂストン、仏ミシュラン、米グッドイヤー)の市場シェアが落ちている

 「業界において全てに『断トツ』を目指すという目標を掲げてきたが、(廉価品も含めた)市場全体でのシェアは気にしていない。高い性能や品質が求められる領域で勝負し、もっと上を目指していく」

 --具体的な取り組みは

 「丸くて黒いドーナツ形という見た目は従来と変わらないが、中身は変わってきている。例えば、5年ほど前から、独BMWの電気自動車(EV)『i3』に新車装着用のタイヤを供給している。EVは重量が重いため、走行時に空気抵抗を受けにくくする必要がある。そこで、普通のタイヤに比べて幅が細く背が高いEV用を開発した。タイヤが路面に接する面積が小さいため転がりやすいほか、発進時のモーターの力をきちんと路面に伝えられる。タイヤをセンサーとして使い、得られた情報を活用する可能性も広げたい」

 --カーシェアリングや自動運転車といった新しい移動手段も広がる方向にある。タイヤ業界への影響は

 「日本では自家用車の稼働率が低く、長い距離を走らない。この状態は続かないだろう。人はもっと賢い動き方を求めるようになる。そうなると、飛行機用やトラック用のように乗用車用のタイヤも、プロの業者が車の稼働を止めないよう管理する方向に進む。新しい時代に貢献できることは何かを考え、手を打つ」

 --変革期を勝ち抜くための課題は

 「会社の競争力に直結する技術開発力をさらに高めたい。それを支える人材の発想力も重要だ。既に東京都小平市にある開発施設を順次拡充してきたほか、欧米など海外拠点の開発態勢も強化してきている。鋼線で補強した主流の乗用車用タイヤ『スチールラジアルタイヤ』が50年以上前に商用化されたが、その延長線上で進化が続くとは限らない。材料や製造技術が革新され、新たなタイヤが登場する可能性もある」

 --空気を充填(じゅうてん)する必要のない自転車用の新型タイヤ「エアフリーコンセプト」の実用化を目指している。乗用車に応用する可能性は

 「(自動車メーカーの中にも)興味を持つ人は多くいる。高速道路に向くのか、顧客に荷物が届く最後の区間『ラストワンマイル』に向くのかを探りたい」

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【プロフィル】津谷正明

 つや・まさあき 一橋大経済卒。1976年ブリヂストン入社。常務執行役員や専務執行役員などを経て、2012年最高経営責任者(CEO)。13年3月から会長を兼務。東京都出身。