カシオ、医療カメラ参入 皮膚科向け、撤退のデジカメ技術活用

皮膚疾患の画像診断に特化した「ダーモカメラ」の試作機(カシオ計算機提供)
皮膚疾患の画像診断に特化した「ダーモカメラ」の試作機(カシオ計算機提供)【拡大】

 カシオ計算機が平成31年春に、医療用カメラ事業に参入する。厚生労働省が昨年12月末に、腕時計などの生産拠点である山形カシオ(山形県東根市)での製造を認可した。同年に撤退したコンパクトデジタルカメラの技術資産を活用し、接写機能が高く、皮膚疾患の臨床診断に特化した「ダーモカメラ」を展開する。

 カシオは7年に世界初の液晶搭載機種を発売したデジカメのさきがけだったが、スマートフォンに押され市場が縮小する中、昨年5月に撤退した。

 一方、皮膚科医向けに27年から、病変を見分けやすくする画像データの変換サービスや臨床画像を用いた学習サービスを展開しており、ノウハウを新製品に生かそうと決めた。

 皮膚科の画像診断は、病変が疑われる部分を拡大、色調変換して見分けやすくする目的で用いられる。通常の一眼レフカメラなどに専用の拡大鏡を外付けして撮影するのが一般的だ。

 これに対し、カシオは専用機としての設計により小型・軽量化し、光の照射ムラや収差(にじみ・ゆがみ)が生じにくくする。また自動でフィルターを交換し、同じ画角で偏光・非偏光・UV(紫外線)の撮影ができる機能を搭載。海外での販売も検討する。

 カシオは信州大学と共同で、人工知能を用いて皮膚疾患を自動判別する画像診断支援システムも開発中。撮影から診断支援、画像管理まで一貫したサービスを提供し、皮膚科領域のビジネスを伸ばす構えだ。