【2019 成長への展望】ソディック社長・古川健一さん(46)

ソディック古川健一社長
ソディック古川健一社長【拡大】

 ■食品機械を第3の柱に早期の育成を

 --2019年の業況について

 「需要先を見ると、昨年は高機能化するスマートフォン関連を中心とする電機と電動化が進む自動車関連の2本柱だったが、スマホが昨年後半から落ちており今年は自動車一色になりそうだ。地域もものづくりの中心である中国に偏ってきたが、米中の貿易摩擦による投資判断の先送りなどから影響が出てくるだろう。偏りは是正され、分散が進むとみている。モノのインターネット(IoT)や次世代通信規格「5G」、自動運転などテーマは多く、顧客が求めるのは生産性向上につながる省人化なので、中国向けが休みでも仕事はある。変化に合わせるしかなく、海外拠点などを活用して情報収集しながら先読みして対応する」

 --生産への影響は

 「中国拠点は同国内向けで輸出基地ではない。日本とタイから米国に輸出しており、最大規模のタイ工場では昨年1月にタイ第2工場を増設、生産能力を2割増強した。同11月には加賀工場(石川県加賀市)に32億円を投じて、生産品目を限定せず柔軟に対応できるマルチファクトリーを竣工(しゅんこう)させた」

 --中期的な課題は

 「工作機械や産業機械は景気の波の影響を受けて需要が振れる。リスク分散を図る意味もあって、このサイクルへの対応が永遠のテーマだ。(世界トップ級のシェアをもつ)放電加工機に次ぐ製品を生み出してきたのもこのためで、今は食品機械だ。景気とは関係ない動きをするので経営の安定に寄与する。コンビニの調理麺や無菌包装米飯などを製造する食品機械を放電加工機、射出成形機に次ぐ第3の柱として早く育てたい。売り上げ規模も18年の約68億円から数年後には100億円を超えるビジネスにしたい」

 --金属3Dプリンターにも力が入る

 「14年の発売から市場浸透に時間がかかったが、18年11月に新たなシリーズを投入した。従来のOPMは精密重視で、レーザー加工での造形後に切削によって造形物を仕上げるタイプ。一方、今回のLPMは高速性と作業性を重視。3Dプリンターで造形した加工物を他のマシンで2次加工することを前提としている。品ぞろえが充実できたので、言い訳はできない」

 --顧客の課題に応えてきた

 「『できない』は言ってはならないことになっている。無理難題でも、同業他社が話に乗ってくれないことでも耳を傾けて少しでも顧客の要求に応える。課題解決を図り、『ソディックがあってよかった』といわれる存在にならないと生き残っていけない」

【プロフィル】古川健一

 ふるかわ・けんいち 1999年ソディック入社。2008年取締役、常務、専務、副社長を経て18年3月から現職。神奈川県出身。