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シャイアー買収 武田、有利子負債5兆円超で財務悪化

 武田薬品工業が8日にシャイアー買収の手続きを完了する。日本企業で過去最大の巨額M&A(企業の合併・買収)は、買収提案の公表から8カ月と、同社の想定をも上回る早さで手続きが進んだ。もっとも、買収で武田の有利子負債は従来の1兆円超から5兆円超に膨らむ。今後は「稼ぐ力」の育成だけでなく、膨大な借金とも向き合わねばならない。

 「グローバルな研究開発型の企業になる」

 7日の説明会で、武田のクリストフ・ウェバー社長はシャイアー買収後の抱負をそう述べた。

 武田は国内の製薬業界では売上高トップだが、世界では19位にすぎない。ほぼ同規模のシャイアーを統合すれば、一気に10位以内へ食い込む。

 武田は近年、主力薬の特許切れが相次いだ上、有力な新薬が育っていない。しかも、連結売上高の約3割を占める国内は人口減や薬価引き下げに直面している。閉塞感を打ち破るためにも、海外企業の大型買収で企業規模を拡大し、研究開発に厚みを持たせる必要があった。

 シャイアーは最大市場である米国の売上高が多い上、希少疾患向けに強く、武田とは補完関係が築けるとされる。6兆8000億円程度と想定されていた買収額が、円高で6兆円程度で済みそうなのも明るい材料だ。

 とはいえ、買収で財務は大幅に悪化する。しかも同社は、年180円の配当を維持する方針だ。このためノンコア資産の売却に踏み込み、負債削減を早める構えで、金額は最大100億ドル(約1兆800億円)規模になる。同社は否定するものの、ドリンク剤「アリナミン」などの大衆薬事業まで手放すとの噂は絶えない。

 武田が採用する国際会計基準では、「のれん」の償却費を毎年計上する必要はないが、減損テストは行わねばならない。シャイアーは、血液製剤などの安定した事業を抱える一方、約4割の世界シェアを握る血友病治療薬で後続に激しく追い上げられるなど、買収後の収益が見通しにくい面がある。同社はシャイアーの資産を「極めて保守的に見積もった」とするが、巨額の減損ということになれば、経営は一気に傾きかねない。

 武田株は7日、急騰したとはいえ、買収検討が伝わった昨年3月下旬以降、大幅に下落。12月7日には、5年11カ月ぶりに4000円を割り込んだ。説明会で「力強い財務指標を目指していく」と強調したウェバー氏だが、難しいかじ取りが求められている。(井田通人)

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