特別背任 「日産に損害与えず」無罪主張 勾留理由開示にゴーン容疑者出廷

勾留理由開示手続きで東京地裁に出廷し、意見陳述する日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者(イラスト・勝山展年)
勾留理由開示手続きで東京地裁に出廷し、意見陳述する日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者(イラスト・勝山展年)【拡大】

  • 特別背任事件の構図

 私的な投資の損失を日産自動車に付け替えたなどとして、会社法違反(特別背任)の疑いで再逮捕された前会長、カルロス・ゴーン容疑者は8日、東京地裁で開かれた勾留理由開示手続きで「容疑はいわれのないものであることを明らかにしたい。日産に損害を与えていない。人生の20年を日産の復活にささげてきた。無実だ。不当に勾留されている」と主張した。

 昨年11月19日に金融商品取引法違反容疑で逮捕されて以降、公の場に姿を見せるのは初めて。英語で約10分間意見陳述し、フランスとレバノンの駐日大使も傍聴した。

 弁護側は勾留の取り消しを東京地裁に請求した。大鶴基成弁護士は、ゴーン容疑者が11日に起訴された場合、過少記載事件と合わせて保釈を請求すると明らかにした。

 ゴーン容疑者は、日産の経営に関わってきたことに関し「日産に心からの親愛と感謝の気持ちを持っている。全力を尽くして、公明正大かつ合法的に業務を推進してきた」と強調した。

 私的な投資の契約者を日産に変更した理由に、2008年のリーマン・ショックを挙げ「誰も想像しない最悪の事態だった」と説明。日産子会社から知人側に約16億円を支出させた容疑については「(日産の)関係部署の承認に基づき、相当の対価を支払った」と話した。大鶴弁護士も「紛争の解決などに対する正当な対価だ」と指摘した。

 ゴーン容疑者は役員報酬を過少記載した容疑にも言及し「地検による訴追は全く誤っている。金融商品取引法に違反することはない」と述べた。

 多田裕一裁判官は、勾留が必要な理由について「罪証隠滅の恐れがあり、国外に生活拠点があって逃亡の恐れがある」とした。

 東京地検特捜部などによると、ゴーン容疑者は自分の資産管理会社と新生銀行との間で「スワップ取引」を契約。リーマン・ショックの影響で損失が生じたため、契約者を日産に変更し、約18億5000万円の評価損を付け替えたとされる。

 さらに契約者を資産管理会社に戻す際、信用保証に協力したサウジアラビア人の知人、ハリド・ジュファリ氏の会社に09~12年、計1470万ドル(現在のレートで約16億円)を子会社「中東日産」から入金させた疑いがある。特捜部は信用保証の謝礼とみているが、弁護人の近藤剛弁護士は、ジュファリ氏が「謝礼というのは事実誤認だ」と話していると明らかにした。

【用語解説】勾留理由開示

 逮捕された容疑者や起訴された被告、弁護人らの請求に基づき、裁判所が勾留を認めた理由を明らかにする手続き。憲法34条や刑事訴訟法82条に規定され、公開の法廷で行われる。担当裁判官は捜査機関が集めた証拠に目を通した上で理由を説明。容疑者や弁護人、検察官らは1人10分以内で意見を述べることができる。通訳の時間は除かれる。