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日産、企業統治改革へ議論本格化 ルノーとの関係修復にもハードル

 前会長のカルロス・ゴーン容疑者が逮捕された日産自動車にとって、今年は事件の要因となったコーポレートガバナンス(企業統治)の改革が最大の課題となる。月内に、既に設置した「ガバナンス改善特別委員会」で議論を本格化させる。6月下旬の定時株主総会で経営刷新や組織的な手当てを正式に決める方向で検討しているが、筆頭株主の仏ルノーは早期の臨時総会開催を求めており、調整が必要だ。

 西川(さいかわ)広人社長は7日、記者団に「今年はガバナンス元年にしたい」と述べた。日産の現経営陣は、事件の背景にあるとされる「ゴーン容疑者への行き過ぎた権力集中」(西川氏)を是正せず、内部調査で不正が判明しても、“自力”ではゴーン容疑者を解任できなかった。企業統治の機能不全は明らかで、日産の再出発にはその改善が必要だとの認識がある。

 特別委は、企業統治強化に向けた方策を3月末までに日産に提言する方針。元広島高裁長官の西岡清一郎弁護士が委員長を務め、榊原定征(さだゆき)前経団連会長や社外取締役ら計7人で構成する。

 提言では、現経営陣の責任にどこまで踏み込むかが注目される。組織的な対応では、ゴーン容疑者個人が取締役人事や報酬の内容について事実上の決定権を持っていた反省から、「指名委員会」や「報酬委員会」の設置を軸に検討する。

 筆頭株主のルノーと一般株主との間に利益相反が起きやすい状況にあることも議論の対象となり得る。

 会長職と代表権は解かれたゴーン容疑者だが、取締役としては残っている。日産は定時総会でゴーン容疑者らを取締役から外し、新たな取締役を選任する方針。

 これまでのルノーとの関係や両社が結んだ協定を踏まえると、「ルノーからの推薦は基本的に受け入れるが、日産側のメンバーが過半数を占める」(関係者)方向だ。

 企業統治の強化は、ルノーとの関係修復にも大きな意味を持つ。ルノーが臨時総会開催を要求している理由には、有価証券報告書の虚偽記載で法人として起訴された日産の企業統治への懸念がある。だが日産はルノーの要求を拒否し続け、両社の議論は平行線となっている。

 日産関係者は「現場でルノーとの協業がやりにくくなっているという声があり、そういう状態を長引かせたくない」と強調する。定時総会で企業統治強化に区切りをつけ、ルノーとの関係も改善したい考えだが、ハードルは多い。 (高橋寛次)

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