徴用工訴訟 韓国地裁、新日鉄住金の資産の差し押さえ決定

 韓国最高裁が新日鉄住金に賠償を命じた元徴用工訴訟で、韓国の大邱地裁浦項支部は8日、原告代理人が申請していた同社が韓国内に持つ資産の差し押さえを認める決定をしたと、共同通信の取材に明らかにした。決定日は公開できないとしている。既に同社の韓国内の関連会社に決定を郵便で送ったが、到着は確認していないという。

 新日鉄住金は決定に対し異議申し立てが可能で、資産の差し押さえが実際に行われる時期は不透明だ。

 地裁支部の決定により、1965年の日韓請求権協定で韓国人の個人請求権問題は解決済みと主張する日本政府の反発は必至で、日韓関係の緊張が一層高まりそうだ。日本政府は差し押さえが行われた場合の対抗措置の準備に着手しており、請求権協定に基づく初の協議を要請することを検討。韓国製品への関税引き上げなどの強硬措置も取り沙汰されている。

 訴訟では、昨年10月30日に4億ウォン(約4000万円)の賠償支払いを命じる確定判決が出た。これを受け原告代理人らは同12月4日に東京都内の新日鉄住金本社を訪問し、賠償方法に関する協議を申し入れたが、回答期限とした同24日までに同社は返答しなかった。このため原告側は地裁支部に同31日に差し押さえ申請を行い、この事実を1月2日に明らかにしていた。

 代理人が差し押さえの対象としたのは、新日鉄住金が韓国鉄鋼大手ポスコと韓国で設立した合弁会社「PNR」の株式。新日鉄住金は発行株式の3割に当たる約234万株を保有しており、時価約11億円相当と推定される。ただ原告代理人は、円満な解決へ向け同社に協議を求めるためとして、資産の売却命令を求める申請は行っていない。(ソウル 共同)