【2019 成長への展望】高島屋社長・木本茂さん(62)


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 ■若年層を狙って国内需要を取り込み

 --昨秋、老舗百貨店の本館を含む「日本橋高島屋S.C.」が開業した

 「新館オープンにより本館などと合わせて4館態勢が整った。新館の来店客数は1日約3万3000人と見込んでいたが、約4万2000人と計画を大きく上回っている。新館効果で本館への来店客数も前年同月比1.6倍と滑り出しは好調だ。春には都内最大規模の屋上庭園がオープンし、より魅力が高まるだろう。日本橋地域の活性化にも貢献していくはずだ」

 --国内市場縮小が懸念される中、タイ・バンコクにサイアム高島屋も開業した

 「開業には、シンガポールで稼いだキャッシュを使い成長投資に振り向けた。初年度の売上高は130億(円)を目標とし、2年目に単年度黒字化を目指す。ベトナムのホーチミン、バンコクの店を成長軌道に乗せることを優先するが、東南アジア諸国連合(ASEAN)は将来の成長性が見込める。今、具体的な開発計画はないものの、ASEANの成長を高島屋グループの成長エンジンとして取り込んでいくことが経営的に必要なテーマだ」

 --働き方改革も進めてきた

 「人手不足により働く側が働く場所や企業を選別する時代になってきた。働きやすい職場環境作りのため、(外出が多い)バイヤーが利用可能なサテライトオフィスを用意したり、子育て世代の従業員らが日曜祝日でも利用可能な企業内保育所も横浜店などで始めた。定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と呼ぶシステムも導入し、業務効率化を図っている」

 --訪日外国人観光客(インバウンド)消費は好調だった

 「昨年上半期の免税売上高は25%伸びた。2020年東京五輪・パラリンピックに向かって伸びると予測する。しかし、米中貿易摩擦がヒートアップしていくとそれぞれの実体経済に影響が出て、減速する懸念がある。インバウンドに影響が出るリスクはある」

 --国内需要をどう取り込んでいくか

 「次世代の顧客を確保していくことが課題だ。顧客は50代以上が増え高齢化が進んでおり、NTTドコモのポイントサービス『dポイント』の導入などにより(若年層に)アプローチをかけている。消費税増税によりマインド的にマイナスとなるため、経済対策に期待している。ただ、今年は元号が変わることも含め、五輪や万博と世界中が日本に注目する節目が続く。時機をとらえてマーケットに対応していきたい」

【プロフィル】木本茂

 きもと・しげる 横浜市大商卒。1979年横浜高島屋(現高島屋)入社。横浜店副店長、執行役員新宿店長、常務取締役企画本部副本部長などを経て2014年2月から現職。東京都出身。