【山本隆三の快刀乱麻】カリフォルニア州、世界最大規模の蓄電池導入へ (1/3ページ)

南オーストラリア州の送電網(ブルームバーグ)
南オーストラリア州の送電網(ブルームバーグ)【拡大】

  • 米カリフォルニア州の太陽光発電設備(ブルームバーグ)

 マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツ氏は、気候変動問題に熱心に取り組んでいることでも有名だ。パリ協定が合意された2015年の国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)に出席し、ソフトバンクの孫正義会長兼社長を含む世界の富豪28人と共同で「革新的エネルギー同盟」(BEV)を設立し、二酸化炭素(CO2)を排出しない安定的で競争力のある低炭素電源に投資することを発表した。

 投資額は10億ドル(約1100億円)。投資対象のエネルギーは、再生可能エネルギー、原子力などに関する新技術が主体だ。すでに固定電池、核融合、地熱発電などの新技術開発企業に投資を行っている。ゲイツ氏は2018年10月17日、主に米国で行っていたファンドによる投資を欧州でも行うと発表した。

 欧州での投資額は1億ユーロ(約130億円)で、欧州連合とゲイツ氏が会長を務めるBEVが50%ずつ投資する予定だ。ゲイツ氏は「気候変動問題での欧州のリーダーシップはかつてないほど重要であり、鉄鋼生産、肥料製造などの分野では大きな排出削減を実現できる可能性がある」と述べている。

 欧州委員会のエネルギー同盟担当副委員長、マレシュ・シェフチョビチ氏は「民間の投資が必要なのは、意思決定が早いためだ。大切なのは蓄電池技術だ。輸送、エネルギー部門の脱炭素だけでなく、鉄鋼生産などの産業でも必要になる」と述べたが、ゲイツ氏は「個人的に複数の蓄電池関連企業に投資した。なくなった企業もあるし続いている企業もあるが、高成長分野ではリスクを取ることが必要」と語っている。

 投資先として蓄電池関連企業が選ばれるのは、今後主体になる電気自動車(EV)用として重要な技術だからだ。充電時間の短縮、航続距離の延長、安全性向上といった電池性能と価格低減は、輸送分野におけるEV主力化の時期を決めることになる。さらに、バス、トラックのEV化を左右する大きな要素になる。輸送部門でのCO2排出削減が大きな課題である以上、輸送部門でも蓄電池は大きなテーマだ。

 蓄電池は、発電部門でも重要な役割を果たすようになってきた。再生エネの導入量が増えるに連れ、電力供給を安定化することが大きな課題になってきたからだ。風力発電量が全供給量の半分近くまで増えた豪・南オーストラリア州は17年、米テスラ製の蓄電池を送電網の中に導入したが、さらに追加導入を検討中だ。

 太陽光発電量で全米1位、風力発電設備容量で全米4位のカリフォルニア州では、数年前から送電網の中に蓄電池を導入しているが、太陽光と風力発電設備の発電量が大きく増えるときには、供給量が需要量を上回る状態になり、再生エネ設備の発電量を毎月抑制する状態が続いている。この状況を改善するには、送電網の中に大型蓄電池を導入する必要があるが、同州の電力・ガス会社パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック社(PG&E)は、再生エネのバックアップ電源として天然ガス火力に代わり大型蓄電池を導入する計画を立て、同州公共事業委員会(CPUC)が計画を認可した。世界最大規模の蓄電池導入となる。

再生エネのバックアップに