【2019 成長への展望】日本ゼオン社長・田中公章さん(65)

日本ゼオン田中公章社長
日本ゼオン田中公章社長【拡大】

 ■3つの重点領域で新製品開発を加速

 --昨年の経営状況と今年の見通しは

 「2018年度上半期の売上高は過去最高だったが、前年同期比で減益となる増収減益だった。主力事業である合成ゴムなどのエラストマー事業では原料のブタジエン価格が高騰し、製品価格を上げられなかったため利益が圧迫された。もう一つの柱である光学フィルムに代表される機能材料事業は、スマートフォン向けなど中小型フィルムの市況低迷に苦しんだ。下半期のエラストマー事業の見通しは、ブタジエン価格は下落しており、製品需要は堅調なので好転するだろう。機能材料は、スマホ向けなど中小型フィルムの市況は回復していないが、4K、8Kの超高精細衛星放送の放送開始で大型テレビ向けの光学フィルムがさらに堅調さを増すと期待している。米中貿易摩擦などで19年度の世界経済は不透明感が強い。しかし、為替の動きは注視が必要だが、国内外経済は総じて現状維持で推移するとみている」

 --中期経営計画では、20年度で売上高5000億円を目標としている。目標達成の見通しは

 「18年度の売上高は3200億円の見通し。厳しい目標だが、『地球環境』と『スマート化』と『健康と生活』という3つの重点開発領域で新規事業創出や新製品開発を加速して達成したい。そのために18年度上半期にいくつかの大型投資を行った。国内で自動車のエンジン回りに使用する耐熱性の高いゴムの製造能力を増強し、海外ではタイに新工場の建設を決めた。光学フィルムの製造設備も富山県高岡市で増強し、19年10月に稼働する。光学フィルムを大型テレビ用に加工する新工場も福井県敦賀市に建設し、20年4月に稼働予定だ。このほか20年度までに700億~800億円を投資する計画だ。重点領域でのM&A(企業の合併・買収)も視野に入れている」

 --重点領域の新製品で期待しているのは

 「夢の新素材といわれるカーボンナノチューブの用途開発を進めている。まずは、サーバーなどの熱を冷却するのに使用するシート状の熱界面材料を19年度から量産化したい。電気自動車(EV)向けのリチウムイオン電池に使用する負極用バインダーも有望分野だ。自動車の自動運転システムなどに使用する画像認識カメラのレンズ原料として耐熱性の高い光学レンズ用樹脂の販売も開始した。これまでガラスレンズしかなかった分野なので期待が持てる。医療機器も胆管結石を除去するのに使用するバルーンカテーテルなど新製品を投入した。医療分野の売上高のボリュームは小さいが20年度には16年度比2倍以上に伸びる計画だ」

【プロフィル】田中公章

 たなか・きみあき 東工大大学院修了。1979年日本ゼオン入社。取締役常務執行役員、同専務執行役員などを経て2013年6月から現職。東京都出身。