油圧ショベル4年ぶり減少 日立建機 19年度の世界需要予測

日立建機のショベル(ブルームバーグ)
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 日立建機は、米国と中国の貿易摩擦や欧州の政治的な混乱などの先行き不透明感から2019年度の世界の油圧ショベル需要が4年ぶりに前年度比でマイナスとなる可能性を示した。一方で同社の収益見通しについては強気を維持した。

 桂山哲夫専務兼最高財務責任者(CFO)はブルームバーグ・ニュースとのインタビューに応じ、19年度の世界の油圧ショベル需要は「今期予想の22万9000台を超えてくるかは微妙で、若干下回るかもしれない」と慎重な見方を示した。現在の混乱気味の世界の金融情勢は、建設や鉱業関連の新規投資意欲に水を差すことは間違いないとし、「われわれは金融市場と離れられない」と語った。

 桂山CFOは「米中貿易戦争などの影響を受け米国の投資家は躊躇(ちゅうちょ)している」と指摘。アフリカやインドの成長を支えていた欧州の投資家たちも同様で、新興国の国債を引き受けていた「彼らが資産防衛する際にどう対応するのかは常に考えている」とした。世界的な金余りの過剰流動性は「いつか逆回転する」ことは年初から想定済みと付け加えた。

 米国株式市場のダウ工業株30種平均は、昨年10月3日に終値ベースで2万6828.39ドルを付け史上最高値を更新。その後は国内外のさまざまな要因から先行きへの懸念が高まり軟調に推移。12月には大幅下落し、24日の取引では2万2000ドルを割り込んだ。

 日立建機が独自に集計した油圧ショベルの世界需要実績は、過去10年間では15年度に底打ちし、16年度は17万3000台、17年度は22万台だった。同社は18年度については、過去最高だった10年度の23万台に迫る22万9000台と3年度連続のプラスと予想している。

 桂山CFOは、来年度も成長が期待できるのは北米やインド市場としながらも、西欧、中東、アフリカでの減少を補うことができないかもしれないと指摘。一方で、世界需要が20万台を大きく下回ったリーマン・ショック後のような大幅な減少は想定していないと述べた。

 業績見通しについては、得意とする中国を含むアジア・太平洋地域などの新興国市場の需要比率が今期も約6割を占めていることや、新車販売だけでなく中古車やサービス部品の販売などの事業も好調に推移していると説明。昨年10月には18年度売上高予想を前年比2.2%増の9800億円、営業利益は同2.8%減の910億円に上方修正した。19年度は横ばいか上積みを狙いたいと述べた。

 今期の需要で全体の27%に当たる6万2000台を見込む中国市場については「大きく減少することはない」と強調。その根拠として、米中貿易摩擦の影響で国内需要が減退しつつある中で中国政府は既に内需拡大政策の実施を宣言していることを挙げる。2月の春節(旧正月)明けにどの程度成果が出るのかが、1つのポイントだと話した。(ブルームバーグ Kiyotaka Matsuda、Masumi Suga)