【2019 成長への展望】サントリーHD社長・新浪剛史さん(59)

サントリーホールディングス新浪剛史社長
サントリーホールディングス新浪剛史社長【拡大】

 ■機能性や付加価値ある商品に注力を

 --昨年を振り返ると

 「なんといっても貿易戦争につきる。米中間の貿易戦争で、中国の経済は既に減速している。それがアジア各国、そして米国経済にもじわじわと影響が広がっている。米国経済は減税効果や原油価格が安定していることから持ちこたえているが、今後は厳しくなり、2019年後半には厳しくなると予測されている。米中の経済が今より景気後退になってくるとの想定で、世界経済を予測しなくてはいけない。欧州では後退が始まっている。これらの背景にあるのはポピュリズムや自国第一主義、格差の問題だ。世界がまとまらずに自由貿易や国際協調もできない状況だ」

 --今年は消費税率引き上げなどが実施される

 「それでなくとも消費が弱い中で、増税で消費を減退させてはいけない。もともと増税に関係なく、今年後半には景気後退局面に入り、てこ入れが必要とされる。そのなかでの2%の増税だけに、消費喚起策が重要だ。同時に、日本経済は人手不足によって経済が動かないというもったいない状況にある。そういった中で、ロボティクス、人工知能(AI)など生産性を上げる投資が伸びており、民間企業がこれを継続させていく必要がある。同時に、デジタル転換に向けた人材育成などの取り組みを進めていく」

 --米ビーム買収から5年経過した

 「サントリーとビームが統合するというプロセスは終わった。サントリーの創業精神『やってみなはれ』を理解し、コミュニティーと共生する利益三分主義などの基礎になる部分を徹底的に理解し、“サントリアン(サントリー人)”になってもらえている。今後はサントリー、ビームのノウハウを共有して、ビームサントリーとして次の段階の成長に入るタイミングとなった。例えば、ハイボールを米国や欧州、中国やアジア各国で広めている。ビールの代替という側面はあるが、リフレッシュできる食中酒という新しい需要をつくった」

 --今年の経営課題は

 「日本のデフレマインドは一掃されていない。そのなかで、われわれが飲料、ワイン、ビールなどで、より付加価値の高い商品を提供することが欠かせない。これまでの延長線上にあるような商品でなく、機能性などで特徴のある商品をつくっていく。ただ、たくさんの種類ではなく、絞り込んで取り組みたい。ビール市場は縮小しているが、プレミアム分野は成長しているし、(第3のビールの)『金麦』も販売増でチャレンジしていく」

【プロフィル】新浪剛史

 にいなみ・たけし 慶大卒。1981年三菱商事入社。91年米ハーバード大経営大学院。2002年ローソン社長、14年会長を経て同年10月から現職。神奈川県出身。