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自動運転の次世代技術披露 米家電見本市、自動車各社が存在感

 国内大手自動車メーカー各社が、米ラスベガスで開催中の世界最大級の家電見本市「CES」で存在感を発揮している。ホンダとヤマハ発動機はCESへの出展を弾みに、外部の技術やアイデアを開発や商品化に生かす「オープンイノベーション」を加速。トヨタ自動車は自社の次世代技術を使う企業の囲い込みを視野に、開発中の運転支援システムをアピールする。

 「自動運転で多くの命を極力早く救えるようにしたい。自動車業界の中にも提供したい」

 CESの開幕に先立ち7日に開いた記者会見に登壇したトヨタの人工知能(AI)研究子会社、トヨタ・リサーチ・インスティテュートのギル・プラット最高経営責任者(CEO)は、自社技術を外販や共同研究などを通じ開放することに意欲を示した。

 CESでは、危険な場面で運転手に代わって事故を防ぐ高度運転支援システム「ガーディアン」を紹介したほか、自動運転のテストに生かす新型の実験車も披露した。

 ホンダのCES出展は3年連続で、次世代技術の性能向上や事業化に向けて協力する相手の発掘にも力を入れる。提案する技術の一つがバギー型ロボット「オートノマスワークビークル」で、山林などの悪路でも自律し移動できる。既に米国で草刈り装置を取り付け大規模太陽光発電所に向かい除草作業を行うなど、複数の実証実験を行う。

 2年連続出展のヤマハ発は、AI搭載の自動運転試作車を出展した。試作車は電動ゴルフカートをベースにした小型車で、道路に埋設した「電磁誘導線」に沿って低速で自動走行。顔写真を事前に登録した乗客を車載のカメラで認識し、カメラに向かって親指を立てると発進するなどジェスチャーに応じ車を動かせる。

 自動運転などの次世代技術分野はITや配車サービスなどの異業種を巻き込んだ競争が過熱しているだけに、自動車ショー以外でも存在感を高め陣営づくりを急ぐことが喫緊の課題だ。ヤマハ発の日高祥博社長も自前の技術だけでは開発競争で遅れをとるとの危機感を強め、「グローバルな視点でベンチャーへの投資を加速する」と強調する。

 ヤマハ発は昨年11月、10年間で累計1億ドル(約110億円)を投じるベンチャーファンドを米国に設立。ホンダも研究開発子会社を通じ、欧米と中国のベンチャーキャピタル4社との協業を始めた。

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