三井住友FG、カバード債の法制化要請へ 海外拡大へ外貨を安定調達 (1/2ページ)

東京・丸の内にある三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の本社ビル前を歩くビジネスマンら(ブルームバーグ)
東京・丸の内にある三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の本社ビル前を歩くビジネスマンら(ブルームバーグ)【拡大】

  • SMFGの国部毅社長

 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は、長期的に安定した外貨の調達手段として、カバード債(債権担保付き社債)の法制化を金融庁に働き掛ける。マイナス金利政策や少子高齢化で国内の経営環境が悪化する中、海外事業の拡大に必要な外貨調達手段の多様化を目指す。

金融危機などに備え

 SMFGの国部毅社長はこのほどインタビューに応じ、邦銀にとって国際事業部門は収益ドライバーの一つであり、「外貨調達余力は生命線」と強調。金融危機などに備えて国内でも安定的に外貨が調達できる手段を検討する必要があるとして、来年度以後、金融庁にカバード債に関わる法整備を要望していく意向を示した。

 カバード債は住宅ローン債権を裏付けとして高格付けを取得することで、各国中央銀行などから長期的に安定した資金を調達する手段として欧州などで広く定着。日本では2013年に経済界からの要望で金融庁が国内発行に必要な関連法制を検討したが、喫緊のニーズはないとして「法整備を行うことが適当でない」と結論付けた経緯がある。

 国部社長は、当時に比べて海外事業が増え「外貨調達の面で必要が生じている」との認識で、国内には良質な住宅ローン債権が多く、これを組み込み投資家に保有してもらう手法は「極めて有効」と話す。

 三井住友銀行は昨年10月、国内発行体として初めてルクセンブルク証券取引所に総額200億ユーロ(約2兆4900億円)のカバード債発行プログラムを上場。初回発行は、当初約5億ユーロを見込んでいたが、旺盛な需要に応え10億ユーロとなった。国内関連法が整備されていないため、英国法を含む複雑なスキームを活用。外貨調達の必要性に迫られる国内銀行からはスキームについての問い合わせが相次いでいる。

 欧州カバードボンド協議会(ECBC)によると、世界のカバードボンドの16年末残高は約2兆5000億ユーロで、うち9割がデンマークやドイツ、フランスなど欧州各国で発行。シンガポールや韓国などでも近年、法の枠組みが作られた。

 国内法整備について、金融庁の遠藤俊英長官はブルームバーグの取材に対し「日本の銀行の喫緊課題と言えなければ国会を通せない」と述べ、議論が必要との見方を示した。法整備の焦点は、「優良貸出債権をひも付きにした債権を優先的に担保に出すこと」の妥当性だと語った。

 日本の倒産法は、企業破綻時は債権者の平等確保が基本となっており、投資家はカバード債の元本と金利が保証されない。新生銀行の江川由紀雄調査部長は、三井住友銀は住宅ローン証券化や破産時の取り扱いを規定した清算法、リスク包括カバーの取引(TRS)などを組み合わせることで高格付けを取得し市場に受け入れられたが、この仕組みを住宅ローン証券化スキームを持たない他銀行が導入するのは難しいと指摘する。

 カバード債の研究を続けている日本政策投資銀行の吉田博彦経営企画部課長は、13年に政府に働き掛けた当時は外貨にこだわらない資金調達手段として必要性を追求したが、今では当時よりも「ニーズが外貨にシフトしている」と指摘。法制化に向け「発行体や当局で必要性に対する認識共有が大事」と述べた。

資金流出リスク軽減