【パナ100年・「みせる」スポーツ(下)】競技、観戦…映像解析が変える (1/3ページ)


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 2020年東京五輪、野球の決勝は同点のまま最終回を迎えた。走者は二塁。一打出ればサヨナラ勝ちのチャンスに、バッターは4番。こんなしびれる場面、選手の胸の高鳴りを共有できたら、どれほどの興奮につながるだろうか。

 パナソニックが開発した「非接触バイタルセンシング技術」ならば、それが可能だ。映像を通じて肌の色から心拍の変化を推定し、実際の緊張度合いを可視化することができるのだ。

 競泳では画面上の視覚効果が加わり、どのレーンに誰が泳いでいるか一目瞭然。速度も表示され、後続の選手が追い上げる姿も分かる。バレーボールではスパイクが決まる度、モニターにはリプレー映像ととともに球速と軌道が表示され、迫力を改めて感じられる。いずれも実証実験が行われ、実現可能な技術となっている。

 映像解析技術を手がける企業はパナソニックだけではない。発展は進み、すでに多くが観戦で目にしている。ゴルファーがドライバーを振り抜くと、中継画面に赤い線で弾道が表れた。映像製作会社のショットビジョン(東京)が導入する「トップトレーサー」の映像効果だ。

 スウェーデンの企業が開発し、放送用カメラの映像と動体認識センサーから弾道を解析する処理速度は1秒未満。社長の森昇平は「球のスピードや回転数、打ち出し角度などがどんどん表示される時代もやってくる」と進化を予測する。

審判の判定にも