ゴーン被告 日産、三菱自の統括会社設立「非開示報酬が目的」

カルロス・ゴーン容疑者出廷のニュースを流す街頭テレビ=8日午後、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)
カルロス・ゴーン容疑者出廷のニュースを流す街頭テレビ=8日午後、東京都千代田区(宮崎瑞穂撮影)【拡大】

 日産自動車と三菱自動車の会長を兼務していたカルロス・ゴーン被告(64)に、10億円の非開示報酬に関する新たな不正疑惑が浮上した。ゴーン被告は両社の資本提携をまとめ、仏ルノーを含め販売台数世界2位の3社連合を形成したが、今回発覚した不正はその功績を汚し、連携にも影を落としそうだ。(高橋寛次)

 関係者にとって衝撃的だったのは、日産と三菱自の協業の象徴ともいうべき統括会社「日産三菱BV」をゴーン被告が設立した目的が、巨額の非開示報酬を得るためだったという調査結果だ。

 調査を担当した西村あさひ法律事務所の梅林啓弁護士によると、ゴーン被告と元日産代表取締役のグレゴリー・ケリー被告(62)は平成28年6月頃、「日本で開示対象外となる報酬をゴーン被告に支払えないか」という目的で、日産と三菱自が折半出資する統括会社設立の検討を始めたという。記者団の取材に応じた三菱自の益子修会長兼最高経営責任者(69)は、「われわれも日産も、純粋なシナジー(相乗効果)が目的と聞いていた」と驚きを隠さなかった。

 ゴーン被告は日産の社長だった28年5月、燃費不正問題が発覚して窮地に陥った三菱自と電撃的な資本提携で合意。株式の34%を取得して事実上傘下に収め、3社連合を形成した。当時の会見では「相乗効果が見込める。日産が弱い東南アジアの事業でメリットがある」と提携の意義を強調していた。その後、三菱自の業績はV字回復し、3社連合は29年に販売台数が約1060万台と世界2位のグループとなった。

 日産の再建に成功した後は、必達目標を掲げてもクリアできないケースが目立つなど精彩を欠いていたゴーン被告だったが、三菱自への出資決断の速さは高く評価されている。しかし今回、「(28年10月に)資本提携が発足する前から、今回の支払いの仕組みが計画されていたことが明らかになった」(梅林氏)。

 益子氏は記者団から「(日産との)提携そのものに不信感を抱かないか」と聞かれると色をなして反論。「現在の自動車産業が抱える問題を考えると、1社で対処することは難しい。アライアンス(企業連合)の力は不可欠で、今回の問題とは峻(しゅん)別(べつ)して考えるべきだ」と話した。だが、調査結果をみると、相乗効果を出そうと努力してきた従業員への背信行為が、現場の士気に影響する懸念は否めない。