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日立、英原発新設計画を凍結 3月期、3000億円の損失計上へ

 日立製作所は17日、取締役会を開き、英国での原発新設計画の凍結を正式に決定。3兆円規模の事業費をめぐり、英政府や民間企業などから協力が得られず、採算確保が見込めないためで、日立は凍結に伴い、2019年3月期連結決算で、約3000億円の損失を計上する見通し。日本企業による海外への原発輸出をめぐっては、東芝が巨額損失で撤退を表明したほか、三菱重工業もトルコでの原発新設を断念する方向で、すべて頓挫(とんざ)することになる。

 日立は12年に英原発子会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」を電力大手から買収して英中西部アングルシー島で原発2基を建設する計画だった。しかし、安全対策費の増加などで事業規模が当初の1.5倍となる3兆円規模まで拡大。英政府と英金融機関が約2兆円を融資した上で日立、英政府と英企業、日本政府系金融機関と日本企業の3者がそれぞれ3000億円を出資する枠組みだった。

 だが、事業費の拡大に加えて事故発生時などの賠償リスクも想定され、出資を期待していた東京電力ホールディングスや中部電力などが難色を示していた。中西宏明会長は昨年12月、「(今の枠組みでは)もう限界だと英政府に伝えた」と発言。事業継続は困難との認識を表明していた。

 日立はホライズンへの出資比率を引き下げて事業リスクを軽減しようとしたが実現に至らなかったほか、投資回収に向けた売電価格についても、高めに設定したい日立と電気代の上昇を懸念する英政府との隔たりが埋まらなかった。

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