日産、ガバナンス改善へ初会合 日産関係者に事情聴取

榊原定征前経団連会長(宮川浩和撮影)
榊原定征前経団連会長(宮川浩和撮影)【拡大】

 日産自動車は20日、会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された前会長のカルロス・ゴーン被告(64)の不正行為を受け、外部の弁護士らで構成するコーポレートガバナンス(企業統治)改善に向けた特別委員会の初会合を東京都内で開いた。日産関係者2人から不正の実態を聴取し、ゴーン被告への権限集中が不正の温床になったことを確認した。今後とも必要に応じて事情聴取し、企業統治の問題点を洗い出したい考えだ。

 特別委は今後3、4回ほど会合を開き、3月末までに日産に企業統治の改善策を提言する方針だ。初会合では、元広島高裁長官の西岡清一郎弁護士と榊原定征(さだゆき)前経団連会長が共同委員長に就くことが決定。両氏を含め計7人のメンバーが出席、約4時間にわたり議論した。

 初会合では、事情聴取を通じ、ゴーン被告の不正を許した企業統治の根本原因について理解を深めた。自身の刑事処分の減免と引き換えに捜査に協力する「司法取引」に応じた日産関係者2人を呼び出したかについては明らかでない。

 会合後、西岡共同委員長は都内での記者会見で、約20年にわたり経営中枢に君臨したゴーン被告の「一強」体制に触れ、「一人の人間に(役員報酬や人事などを決める)権限が集中したことが問題だ。経営者の倫理観としてもいかがなものか」と指摘した。

 同席した榊原共同委員長は「(企業統治の機能不全が)なぜ起こり、なぜ防げなかったか。それを防ぐための体制についてしっかり議論する」と強調。今後、企業統治のチェック体制や取締役会の構成などにも踏み込む考えも示した。

 日産は昨年12月の取締役会で、外部の弁護士ら第三者による「ガバナンス改善特別委員会」を設置した。