ゴーン見限ったフランス 「黄色いベスト」の風圧強く

カルロス・ゴーン被告(AP)
カルロス・ゴーン被告(AP)【拡大】

 【パリ=三井美奈】フランス政府がゴーン被告の逮捕から2カ月を経てルノーのトップ刷新を決めたのは、日産自動車とルノーの溝が深まる中、企業連合の不安定化に歯止めをかける狙いがある。仏国内では昨年12月、ルノーの不透明な幹部報酬が指摘され、筆頭株主である政府への批判に飛び火する懸念も出ていた。

 フランスでは昨年秋から、生活苦を訴える「黄色いベスト」の抗議デモが続き、マクロン政権の税制が「金持ち優遇」だとしてやり玉にあげられている。マクロン大統領が民間投資を促すため、高所得者向け資産税を廃止したからだ。

 そんな中、ルノー幹部がオランダにある同社と日産、三菱自動車との統括会社を通じて1人当たり年間最大で13万ユーロ(約1600万円)の追加報酬を受け取っていた疑惑が浮上。労働組合が12月、政府に実態解明を要求した。ゴーン被告の逮捕後、ルノーは幹部報酬の社内調査に着手したが、今月10日の発表は「2017、18年に不正はない」という短い声明だけ。かえって「調査が不十分」という反発を招いた。

 15日付ルモンド紙は、「ルノーの信頼回復に向け、仏政府が主導的役割を果たせ」と、ゴーン会長解任を求める論説を掲載。11月、突然の逮捕劇を「日本の陰謀」と批判した仏メディアの論調は大きく変化した。仏メディアによると、仏政府は弁護士を通じてルノーの経営陣刷新の意向をゴーン被告に伝え、同被告は「自動車連合やルノーの障害になりたくない」と辞任の意向を示した。