【2019 成長への展望】三菱地所社長・吉田淳一さん(60)

三菱地所吉田淳一社長
三菱地所吉田淳一社長【拡大】

 ■日本支える機能備えた街づくり推進

 --2019年のオフィスビル市場の見通しは

 「働き方改革に対応して優秀な人材を集めるには、戦略的なオフィスや快適に働ける空間づくりに積極的に取り組まなければならない、といった機運が企業の間で高まっており、東京都心5区を中心とした市場は好調だ。供給過剰に伴う“18年問題”が懸念されていたが、そうした不安は払拭されており、現在の市況が続くと予測している」

 --マンション事業の方向性は

 「東京都心部に建つような希少価値が高い物件の場合、企画力を磨けば大丈夫だと認識しているが、全体的には販売戸数が大きく伸びることにはならないと予測している。こうした中、地方都市では、生活の利便性にかかわる施設や医療関連の拠点を街の中心部に集中させる流れが、加速していくのではと思っている。そういった部分を見越しながら、地方の都市ごとにどのようなマンション事業の戦略を講じるのかについて真剣に考えていきたい」

 --東京・大手町や丸の内でエリア価値の向上を目指す動きを積極的に進めている

 「東京の中心がしっかりしなければ日本は沈んでしまう。そんな危機感を踏まえ、日本を支えていく機能を備えた街づくりに力を入れるのと同時に、新しい何かが生まれるという期待感を持たせることが重要だ。例えば築60年を超えた大手町ビルはフィンテック拠点『FINOLAB(フィノラボ)』が成功しているが、大規模リノベーションを契機に不動産テックなど他分野のスタートアップの育成に力を入れる。大手町の魅力は法律事務所や監査法人、スポンサーになりうる商社やメガバンクもそろっている点で、大手企業とベンチャーの連携は他エリアだとなかなかできない。こうしたインフラをさらに磨き上げるとともに、幅広い層が交流できるような仕掛け作りを行う」

 「また、東京の中心部だけでなく他のエリアでも、20年代に向けて、どういった形で価値を高めていくのかという点をしっかりと考える必要がある。オープンイノベーションを通じ業界の枠を超えた形で他社と連携しながら、コンテンツを増やしていきたい」

 --海外戦略は

 「優先順位が高いのがアジアだ。タイでは現地のデベロッパーと共同で分譲マンション事業を展開しミャンマーでは大規模複合再開発、インドネシアではオフィスビルの開発を行っているが、今後はベトナムなど親日国の中でしっかりと事業を進めていけるチャンスがあるとみている」

【プロフィル】吉田淳一

 よしだ・じゅんいち 東大法卒。1982年三菱地所入社。人事部長、ビルアセット業務部長などを経て2014年常務執行役員、16年取締役兼執行役常務。17年4月から現職。福岡県出身。