チャットbotを導入して、「社内ヘルプデスクの電話対応」をやめてみた結果 (1/4ページ)

 「VPNにつながらないんですが、どうしたらいいですか?」「支給されたスマホの初期設定が分からないんです」

 情シスの皆さんであれば、社員からこういった質問を受けたことがあるだろう。多くの企業で、情報システム部門は社内向けのヘルプデスクとしての機能を備えている。他の仕事もあるのに内線電話に追われて、一日中てんてこ舞い……なんて話も珍しくはない。

 とはいえ、問い合わせに対応できずに社員の業務が止まってしまっては本末転倒だ。そんな中、「毎週水曜日以降は、ヘルプデスクの電話対応をやめる」という挑戦に踏み切って成果を挙げた企業がある。

重複する問い合わせ、マニュアルを作っても読んでもらえない

横河レンタ・リース 情報システムセンタ システム開発運用部 第四課長 浅野井宏之さん

横河レンタ・リース 情報システムセンタ システム開発運用部 第四課長 浅野井宏之さん

 それは、電子計測器やPCをはじめ、タブレット端末やサーバなどのレンタル事業を手掛ける横河レンタ・リースだ。同社は約1000人の社員を抱える一方で、3~5人の体制で全社員のヘルプデスクに対応しているという。

 電話の問い合わせは一日当たり平均で30件以上。メールでの問い合わせを含めると50件を超えることもあるという。問い合わせへの対応だけで1日が終わるようなこともありそうな数だが、実際のところ、同じような質問に何度も答えているような状況だったという。

 「Windowsのパスワードリセットに伴うトラブルや、会社支給のiPhoneを入れ替えたから初期設定がしたいといった質問が特に多かったです。また年度の始めなどは、新人からの質問も増えますね。誰に相談したらいいか分からず、取りあえず情シスに問い合わせてくるんですよ」(同社 情報システムセンタ システム開発運用部 第四課長 浅野井宏之さん)

 同じような質問が多いこともあり、淡々と処理すること自体はさほど難しくない。しかし、電話応対になると、ヘルプデスクの人員1人のリソースがその1案件に完全に奪われてしまうという問題があった。

対応を効率化するため、新たな問い合わせは「kintone」上でトピックスを立ち上げ、社員が確認できるようにしていたという

対応を効率化するため、新たな問い合わせは「kintone」上でトピックスを立ち上げ、社員が確認できるようにしていたという

 もちろん、同社も何も対策をしてこなかったわけではない。対応を効率化するため、定番の質問に対するFAQマニュアルを300項目ほど作成し、社内ネットワークで公開していた。マニュアル化ができていない新たな問い合わせは、サイボウズのアプリ構築プラットフォーム「kintone」上でトピックスを立ち上げるなど、メールや電話をしなくても解決できる仕組みは整っていたという。

 しかし、それでもマニュアルを読まずに、電話で問い合わせをしてくるケースは後を絶たなかった。

対策としてチャットbotを導入! しかし……