【高論卓説】日産は経営権を維持できるか 統合より有益、ルノー説得必要 (1/2ページ)

日産自動車(左)とルノーのロゴ(佐藤徳昭撮影)
日産自動車(左)とルノーのロゴ(佐藤徳昭撮影)【拡大】

 特別背任罪などの容疑で東京地検特捜部に起訴されたカルロス・ゴーン被告がルノーの会長兼最高経営責任者(CEO)を退任した後、新会長に就任したジャンドミニク・スナール氏は1月31日、日産自動車の西川(さいかわ)広人社長と初のトップ会談を行った。

 この会談で両者は、ルノー・日産の関係維持を優先し、結束強化することを確認した。しかしルノーの筆頭株主であるフランス政府は日産とルノーの経営統合を強く求めており、日産の経営の実権を握っている西川社長は、現体制を維持しながらルノーの影響力を低下させようと躍起になるだろう。果たして経営権を死守できるのか。

 ルノーは日産の株式を43.4%保有している。日産の株主総会は委任状も含め、出席する株主数は全体の8割程度。ルノーは事実上の過半数を保有しているから、特別決議(3分の2)の必要な経営統合はともかく、取締役の選任はルノーの思いのままだ。

 仮に100%の株主が総会に参加したとしても日産がルノーの株主提案を退けることはまず不可能だろう。ルノーに反旗を掲げたままでは経営権の維持はとても無理だ。

 自動車産業は日本の基幹産業だからルノーと日産の統合問題は日本の国益に関わり、日本政府も指をくわえてみているわけにはいかないのでは、という見方もある。しかし主要株主ではない日本政府が口を出す筋合いの問題ではない。

 そもそもルノーがなぜ大量の日産株を持っているのか。そのきっかけとなったのが日産の経営危機だ。

 日産は1990年代後半、2兆円を超える有利子負債を抱え、経営危機に陥った。最大の原因は“3人の天皇”と呼ばれた2人の経営者と労働組合リーダーとの癒着と確執、経営の私物化だ。まさにコーポレートガバナンス(企業統治)の欠如だった。

 そんな日産に対して政府はもとよりメインバンクの富士銀行(現みずほ銀行)、日本の主要企業も支援の手を差しのべることはなかった。日産は独ダイムラー・クライスラーに助けを求めるがこれも破談。その後、手を差しのべたのがルノーとフランス政府だった。

 ルノーは日産の36.8%の株式を取得。その後、日産がルノーの15%の議決権のない株式を保有し、持ち合いを行った。これは日産をグループ会社化したルノーが、「メード・イン・ジャパン」という日産のブランドイメージを守るために、持ち合いを使って対等な「アライアンス」を演出したかったからだろう。

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