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スマホ曲がり角、多角化に活路 ソフトバンク 普及一巡、株価低迷で構造転換

 携帯大手のソフトバンク(SB)が5日発表した2018年4~12月期連結決算は、最終利益が前年同期比18.7%増の3958億円だった。主力の通信で事業環境が厳しさを増す中、非通信サービスを組み合わせて付加価値を高められるかが成長の鍵を握る。

 「スマホはまだまだ成長領域だ」

 決算会見で、宮内謙社長は主力事業の好調ぶりを強調した。売上高は4.9%増の2兆7766億円、営業利益が18.5%増の6349億円だった。スマートフォンの累計契約数は2146万回線だった。

 ただ、国内の通信事業は曲がり角にさしかかっている。スマホの普及が一巡しており、人口減少社会を迎える国内では契約数は頭打ちとなる。政府からは携帯電話料金の値下げを要請され、楽天の新規参入で競争も激化する。

 宮内氏は「ソフトバンクブランドは大容量に特化する。(格安ブランドの)ワイモバイルで対応する」と述べた。

 背景には低迷する株価がある。この日の終値は1359円。昨年末からの株安の流れもあり、売り出し価格1500円を一度も超えたことはない。投資家の心証を悪化させる減益につながる値下げを安易に認めるわけにはいかない。

 成長を維持するには、非通信サービスを広げるしかない。頼みの綱は、親会社のソフトバンクグループ(SBG)が傘下に持つ10兆円ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」。最先端のテクノロジーで成功を収めている海外のスタートアップ企業と協業し、国内に展開できるのが強みだ。宮内氏は「ビジネスチャンスが無数にある。新たな事業領域をますます伸ばしていく」と力を込めた。

 米シェアオフィス大手ウィーワーク、中国ライドシェアの滴滴出行とも合弁会社を設立しており、スマホを経由したサービスを充実させて会員の囲い込みを狙う。

 今秋に実用化が始まる高速大容量の第5世代(5G)移動通信方式も大きな転換点となる。SBは主力の通信事業の人員のうち4割を人工知能(AI)などの新規事業に振り向けることを表明しており、事業構造の転換の行方に注目が高まる。(高木克聡)

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