証券各社の業績不振 景気先行き懸念、取引低迷

 証券会社の業績が振るわない。大手5社とネット5社の2018年4~12月期決算は8社が減益や赤字となり、株式市場の急速な悪化をうかがわせた。米中貿易摩擦などを背景に景気の先行き懸念が広がり、取引低迷につながった。株価は景気の先行指標とされるが、株安で企業の積極的な経済活動が鈍れば幅広い業種で不振の連鎖が起こる可能性もある。

 最終利益が前年同期に比べて減ったのは、大和証券グループ本社やSMBC日興証券、松井証券などの7社。野村ホールディングス(HD)は、法人向け事業の収益悪化で1012億円の赤字に転落した。業績を伸ばしたのはSBIホールディングスと楽天証券の2社にとどまった。

 18年10~12月は株式相場が大きく変動した。10月2日に終値で2万4270円と約27年ぶりの高値を付けた日経平均株価は、12月25日に1万9155円と2割以上低い水準にまで落ち込み、投資家心理が冷え込んだ。株式の売買が細った上、大手では投資信託の販売に伴う手数料収入も振るわなかった。

 機関投資家を対象にした債券取引の事業が低調だったことも業績の足を引っ張った。日本では日銀の大規模な金融緩和によって超低金利が続いていることなど厳しい収益環境が響いた。

 今後の見通しも楽観できない。野村HDの北村巧執行役は決算会見で、国際情勢の不透明感などを背景に「(現状でも)個人投資家の活動は低迷している」と指摘。みずほ証券の山田達也専務も、米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げを一時停止する方針を決めたことに触れ「低金利は世界的に続くと思う」と強調した。

【用語解説】証券会社の収益源

 個人投資家の株式売買や投資信託の購入に関する手数料のほか、企業の資金調達や機関投資家の運用に伴う業務など幅広いサービスから収益を得ている。市場環境に左右されにくい事業構造への転換は各社共通の課題で、顧客の資産を預かって中長期的な運用を支援したり、M&A(企業の合併・買収)の助言に注力したりしている。